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2022.10.29

【経営者向け】基礎から学ぶ経済指標の読み方② 応用編

経営相談

郡山の経営者の方から、
「経済指標の見方がよくわからないので解説してほしい」
といった趣旨のご質問をいただきました。
とても勉強熱心な経営者さんで、うれしい限りです。
コンサルタントととして、解説のし甲斐があります。
企業の未来を決める上で、経済動向を知るというのは、大事なことです。
その動向を知るためのカギとなるのが、経済指標です。
経済指標を読むことができれば、業界や地域を取り巻く情報が把握できることに加え、
今後の事業予測を立てることにつながります。
経営者としてワンランク上を目指すなら、覚えておいて損はありません。
今回は、経済指標とその読み方を解説していきますから、最後までご覧いただければと思います。

経済指標は沢山ありますので、
前回のブログに引き続き、2回にわたりお伝えします。
リンク:【知っておきたい社長の知識】経済指標のみかた ①基本編 有効求人倍率・消費者物価指数

このまま最後までお読みいただければ郡山商工会議所の会報は勿論、
ニュースで言われている経済指標も
理解することができるようになります。

前回は、基本2つの指標をお伝えしました。
1 有効求人倍率
2 消費者物価指数

です。

そして、今回お伝えする経済指標は、より私たちの社会や地域に密接に影響する指標になります。
全部で4つあります。
1 業況判断指数・DI
2 早期景気観測調査結果
3 商業動態統計
4 鉱工業指数

です。
いずれも、企業の経営者なら、知っておいて損はない、というより、
知っておくことで1ランク上、前回と合わせて1桁上の経営者になれますので、
最後までお読みいただければと思います。

1 業況判断指数・DI

業況判断指数は、業況DI、
すなわち、デフュージョン・インデックスとも言います。
ずばり、企業の景気状況をあらわします。
これは、経営者に対するアンケートで、
日本銀行が企業短期経済観測調査という名前で実施しています。
いわゆる、日銀短観と呼ばれるものです。
50人以上の従業員を抱える全国の企業1万社を対象に、
経営者に今の景気状況を回答してもらったものの集計結果です。
発表は4半期ごと、すなわち3・6・9・12月に行われます。
具体的には
① 企業の現状
② 企業の先行き
という2つのカテゴリについて、
1 良い
2 さほど良くない
3 悪い

の3つの選択肢の中から1つ選んで回答してもらいます。
良いと回答した企業の割合から悪いと回答した企業の割合を引いて計算しますが、
0を基準として、
プラス  → 景気が良い
マイナス → 景気が悪い

と判断します。
また、前回と比較して、
上昇 → 景気は回復、上昇している
下落 → 景気は後退している

と考えることができます。
業況判断指数には、
大企業・製造業DI、
大企業・非製造業DI、
中小企業・製造業DI、
中小企業・非製造業DI

などがありますが、
このうち在庫の影響を受け景気に反応しやすい
大企業・製造業DIが注目度の高い指数になっています。
ちなみに、2022年3月の短観では、
現状では
大企業が11、中小企業がー6
と、中小企業にとっては厳しい状況にあるということ、
先行き見通しでは
大企業が8、中小企業がー8と、
現状よりも数値が下がっていますから、
大企業も中小企業も先行きに不安を抱えているという結果が出ました。
他にもDIは、設備や雇用人数にも使われます。
・今後設備投資の予定があるのか?
・雇用人数は足りているのか?
といった指数もあり、参考にすることができます。

2 早期景気観測調査結果

これは、1点目でお伝えした、日銀短観の地域版と思ってください。
商工会議所が地域の中小企業を中心に行っている調査で、
全国2700企業を対象に毎月行われています。
地域や中小企業が 「肌で感じる足元の景気感」を
全国ベースで毎月調査することを目的としており、
日銀短観と比較して、より地域経済に近い数字がとれます。
発表は毎月中旬頃に行われます。
郡山商工会議所が毎月発行している会報にも掲載されていまして、
「データで見るこおりやま」というページ
早期景気観測調査結果という欄があり、そこで見ることができます。
見方は日銀短観のDIと同じです。
具体的には
① 企業の現状
② 企業の先行き
という2つのカテゴリについて、
好転、すなわち良いと回答した企業の割合から
悪化、悪いと回答した企業の割合を引いて計算しますが、
0を基準として、
プラス  → 景気が良い
マイナス → 景気が悪い

と判断します。
また、前回と比較して、
上昇 → 景気は回復、上昇基調
下落 → 景気は後退

と考えることができます。
ちなみに、令和4年5月期ですが、
現状では
全国ではー20.4、東北ではー29.7
と、悲観ムードが漂っているということに加え、
東北地区は全国と比較しても厳しい状況にあるということがわかります。
先行き見通しでは
全国では、ー23.6、東北ではー27.4と
現状に比較すれば、
将来に明るい兆しを見出している企業があるものの、
全体としては厳しい状況にあるという結果が出ました。
全業種だけお伝えしましたが、
このデータは5つの業種を見ることができます。
すなわち、
・製造業
・小売業
・建設業
・卸売業
・サービス業
です。
商工会議所の会報には、景気観測のみ掲載されていますが、
もとのデータは、
・地域ごと
・売上
・採算
・資金繰り
・仕入単価
・販売単価
・従業員

の状況ごとにデータを見ることができます。
特に、経営者の方は地域の動向をチェックする上で、
強力なデータですので、毎月目を通しておくことをお勧めします。
ネットで、「商工会議所、LOBO調査」と検索してみると出てくると思いますので、
毎月チェックすれば、
地域経済や業界動向が読めてきます。
自社の方向性を決めるうえで、役に立つと思います。

3 商業動態統計

経済産業省が全国の卸売業者や小売業者に対して行っている調査で、
毎月中旬に公表されます。
これを見ることで、卸売業と小売業の月ごとの販売額が分かります。
例として、お話します。
令和4年3月のデータですが、
全国の商業販売額は53兆円で前年同月比で5%UPしました。
ここから、昨年よりも商業は回復基調にあることがわかります。
そして、この商業販売額ですが、
おおきく2つに分けられます。
① 卸売業
② 小売業

です。
令和4年3月を例としてお話しますと、
卸売業は39兆円で、前年同月比7.2%UP
小売業は13兆円で、前年同月比0.7%UP
となりました。
これを分析しますと、
卸売りは前年同月と比較して7.2%UPと回復が見られるものの、
小売りは前年同月と比較して0.7%UPと回復速度は鈍いとみることができます。
つまり、消費者のお財布は硬めということがわかります。
これを、自社で行う商品の発注や生産計画の参考にすることができます。
他にも、このデータは
地域別、県別、業種別に販売額を集計しています。
小売業の中でも、
・百貨店・スーパー
・コンビニエンスストア
・家電専門店
・ドラッグストア
・ホームセンター

ごとに販売額を集計していますので、
ご自分のビジネスに近い情報がとれるかと思います。
正規のデータは60ページぐらいになります。
経済産業省のHP内に掲載されていますので、
興味ある方はご覧になることをお勧めします。
リンク:経済産業省 商業動態統計 速報

4 鉱工業指数

鉱工業とは、漢字で鉱物資源の鉱に工業高校の工業で、鉱工業といいます。
資源を採掘する鉱業と、工場などものを作る方の工業、
これを合わせたものを、鉱工業といいます。
ザックリ言えば、この指数は日本の経済活動がわかる指標です。
鉱工業は日本のGDPの2割、関連産業も含めるとGDPの4割にまでなりますから、
日本の経済活動をカバーできるといっても過言ではありません。
全国版は経済産業省が出していますが、
福島県版は福島県が県HPで公表しています。
この指標では、鉱工業の生産、出荷、在庫数のカテゴリから知ることができます。
業種も20種類近くあり、
鉄工製品や産業用ロボット、半導体、家電、自動車、ガラスやゴム製品など、多岐に渡ります。
他にも、石鹸類やガソリン、印刷用紙、パンやペットボトル飲料、石炭、石灰など、多くのものをカバーしています。
これらの業種ごとの月別データを集計したものが、鉱工業指数です。
全国版は毎月中旬頃、経済産業省HPで発表。
福島県版は毎月月末頃、福島県HPで発表
されます。
もちろん、誰でも見ることができます。
そして、この鉱工業指数の見方についてお伝えします。
鉱工業指数は、大きく3つのカテゴリがあります。
すなわち、
① 生産
② 出荷
③ 在庫

です。
この3つですが、
2015年の1年間の平均値を100としています。
これを基に、月ごとの実績を計算します。
指数が
100より大きい → 多い
100より小さい → 少ない

と見ます。
そして、この指数の分析方法をご紹介します。
(1)福島県全体の指数
(2)業種別の指数

です。

(1)福島県全体の指数

福島県全体の指数の分析方法をお話します。
指数データは、令和4年3月分を使います。
指数は季節変動によるばらつきを調整した指数を使用します。
生産 82.7で前月比2.7%のダウン
出荷 83.1で前月比3.9%のダウン
在庫 105.7で前月比4.3%のダウン
となりました。
つまり、生産も出荷も在庫も先月と比較すると、軒並み下落。
生産と出荷は2015と比較すれば80台と低い水準にあるということ、
そして在庫は105と積みあがっていることが予測されます。
この状態からすると、2015年と比較して80%くらいしか物が売れない
とはいえ、在庫は105%と余っている状態
だから、生産量も80%くらいに抑えざるを得ない
という状況を読み取ることができます。
これが、1つめ、全体指数の分析方法です。

(2)業種別の指数

業種別の指数をお伝えします。
これは、鉱工業の中でも業種は全部で20種類以上分類されます。
代表的なもので、6つあり、
業務用機械
情報通信機械
電子部品
輸送機械
化学
食料品

とあります。
それぞれの業種ごとにも生産、出荷、在庫の指数があり、
見方は1つめの全体指数と同じです。
それを踏まえて、業務用機械という業種を見ていきます。
業務用機械というのは、工場用の組み立て装置などの機械そのものです。
工場のラインを構成しているものといっていいかもしれません。
車の自動溶接機やベルトコンベヤなどがあります。
業務用機械は、生産も出荷も80台で、在庫は240以上ありました。
在庫が240と積みあがっているのに、生産と出荷は80台です。
この産業の在庫が240ということは、
これまで様々な産業が設備投資を控えてきた、
結果、売ることができず、在庫が積みあがっていると考えることができます。
そうなると、業務用機械業界としての打ち手は、
在庫を減らすか生産を縮小せざるを得ないということになると思います。
生産と出荷の指数は共に80ですから、
受注は多くはないことが予想されます。
なのに在庫が積みあがっていますから、
今後の打ち手としては、
生産を縮小するか、在庫を減らしていく可能性があります。
さらに、生産を縮小するということは、
それだけ人や工場をカットすることになってくるという仮説が立ちます。
一方、在庫を減らすということは、
価格を安くしてでも販売していく可能性があるということです。
となると、設備投資をしたい、工場を新たに作りたいと考えている企業にとっては、
設備や労働力を有利な条件で手に入れるチャンスという仮説が立ちます。
これが、2点目の業界別の指数の読み方です。
以上、指標の読み方について、2つお伝えしました。

これまで、4つの経済指標をお伝えしました。
1 業況判断指数・DI
2 早期景気観測調査結果
3 商業動態統計
4 鉱工業指数
でした。

おわりに

今回は、4つの経済指標をお伝えしました。
1 業況判断指数・DI
2 早期景気観測調査結果
3 商業動態統計
4 鉱工業指数
でした。
前回に引き続き、2回にわたってお伝えした代表的な経済指標とその読み方ですが、以上になります。
経済指標が読めるいうことは、時流を読めるということです。
経営者は、日々決断の連続です。
そして、決断には情報が必要です。
経済指標のような客観的な情報は、
経営者が決断をする上で大きな力になってくれるはずです。
そして、大事なのは、行動につなげることです。
「景気良いなー、悪いなー」では何も始まりません。
指標から将来の予測を立てて実行すること。
それが、経営者として高みに上がるためのステップになると思います。
是非、経済指標を見て考えて実行することに、取り組んでいただければと思います。

記事執筆


株式会社トライアンドエラー 税理士 代表取締役 遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
1981年生まれ 山形県出身
2000年仙台国税局採用 福島県内税務署を中心に18年間勤務。
2018年税理士事務所を設立。国税時代から法人個人含め延べ約30万件超の財務経営コンサルティングに携わる。
現在は株式会社トライアンドエラー 税理士兼代表取締役社長として、福島県郡山市の企業を中心に財務経営コンサルタントとして活動中。

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