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2022.10.09

【経営者向け】基礎から学ぶ経済指標の読み方① 基礎編

経営相談

郡山の経営者の方から、
「経済指標の見方がよくわからないので解説してほしい」
といった趣旨のご質問をいただきました。
とても勉強熱心な経営者さんで、うれしい限りです。コンサルタントととして、解説のし甲斐があります。
企業の未来を決める上で、経済動向を知るというのは、大事なことです。
その動向を知るためのカギとなるのが、経済指標です。
経済指標を読むことができれば、業界や地域を取り巻く情報が把握できることに加え、
今後の事業予測を立てることにつながります。
経営者としてワンランク上を目指すなら、覚えておいて損はありません。
今回は、経済指標とその読み方を解説していきますから、最後までご覧いただければと思います。

経済指標は沢山ありますので、
2回に分けて、取り上げます。
聞いていただければ、郡山商工会議所の会報は勿論、
ニュースで言われている経済指標も
理解することができるようになります。

まずは、ニュースでも取り上げられる
メジャーな指標から、お伝えしていきます。
今回お伝えする経済指標は、2つです。
1 有効求人倍率
2 消費者物価指数

です。

1 有効求人倍率

2022年7月のデータを基に、解説します。
郡山市 1.54倍
全国  1.29倍

です。
この数値は、倍率であらわします。
求職者1人あたり、求人がいくつあるかということです。
計算式は、
有効求人倍率 = 求人数 ÷ 求職者数
です。
厚生労働省から毎月月末付近に発表されます。
なお、このデータはハローワークでとっていますので、
ハローワークに掲載していない、
・求人雑誌
・紹介エージェント
・店頭張り紙
などの数字はカウントされていません。
あくまで、ハローワークでの求人と求職の比率とお考え下さい。
戻りますが、計算式は、求人数÷求職者数です。
つまり、1人あたりいくつの仕事があるかということを表しています。
結論から言えば、
この数字が
大きければ労働者に有利
少ないほど労働者に不利

ということになります。
例えばでお話します。
倍率が1.0であれば、求職者100人に対して求人が100社あるということをいいます。
1人あたり1つの仕事があるということです。
倍率が0.5であれば、求職者100人に対して求人が50社にあるということをいいます。
求職者2人に1つの仕事しかないということです。
倍率が2.0であれば、求職者100人に対して求人が200社あるということをいいます。
求職者1人につき、2つの仕事があるということです。
ですから、労働者にとっては、
倍率が大きければ、仕事がたくさんあるから有利
倍率が低ければ、仕事が少ないから不利

仕事の取り合い、競争になると考えることができます。
逆に企業にとっては、
倍率が大きければ、他社も求人を出しているということですから、
採用に不利
倍率が小さければ、それだけ求人応募も多くなることが期待できるわけですから、
採用に有利と考えることができます。
また、有効求人倍率は失業者と求人を表すものでもありますから、景気の状況を判断することも出来ます。
倍率が高ければ、仕事は多いけど人は足りない、すなわち、景気が良い
倍率が低ければ、仕事は少ないし人は足りてる、すなわち、景気が悪い

と判断することもできます。
ちなみに、私が就職したころの2000年代は就職氷河期とよばれ、有効求人倍率が0.5近辺の年がしばらく続きました。
現状の全国倍率で1.2ですから、当時の2.4倍です。
そこに比較すれば、売り手市場ということができます。
話を戻します。
現状の値ですが、
郡山市 1.54倍
全国  1.29倍
です。
求職者1人につき、仕事の募集が約1.5社あるということです。
全国の約1.3社よりも大きいわけですから、
郡山市は現在、全国と比較して、
働く人にとっては有利
求人を出している企業やこれから求人を出そうと思っている
企業にとっては不利
と考えることができます。
これが、有効求人倍率の見方です。

2 消費者物価指数

始めに、現状の数値をお伝えします。
令和4年4月の消費者物価指数は102.3でした。
これを踏まえたうえで、
消費者物価指数について、2点説明します。
(1) 基本
(2) 実生活とのかかわり

です。

(1)基本

消費者物価指数とは、ざっくりいえば、商品の価格変動を示したものです。
物価が上がった、下がったという言い方をしますが、これを数値化したものを、消費者物価指数といいます。
消費者物価指数は経済の体温計ともいわれています。
経済活動が活発になると、物が足りなくなって、物価が上がり、経済活動が停滞すると、物が余って、物価が下がります。
このモノの値段の上げ下げで、経済が活発か停滞しているかわかるわけです。
ですから、経済の体温計とよばれます。
総務省の統計局が作成・公表しています。
毎月19日の属する週の金曜日に発表されることになっていますが、ざっくりいえば、毎月下旬頃と覚えておくぐらいでよろしいかと思います。
消費者物価指数ですが、大きく2つに分かれます。
① 消費者物価
② 指数

① 消費者物価

消費者物価について、解説します。
モノの価格には、商品一つとっても、大きく3つの価格があります。
1 生産者価格
2 卸売価格
3 小売価格

です。
1 生産者価格
生産者が出荷するときの価格
2 卸売価格
卸売業者が小売店などに販売するときの価格
3 小売価格
小売店が消費者に販売するときの価格
”希望小売価格”といった言い方に聞き覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
消費者物価は、3 小売価格 を使います。
消費者物価指数は、日常生活で我々が購入する商品の値動きを
総合してみようというのが目的なわけですから、日常に密着している小売価格を使用するわけです。
食料、衣類、電気製品や化粧品などモノの価格のほか、家賃、通信料、授業料、理髪などサービスの価格の動きも含まれます。
これが、1つめの消費者物価です。

② 指数

消費者物価指数は、値段が上がった、下がったという使い方をします。
上がった下がったという言い方をするからには、比較対象が必要です。
比較の対象は過去の数値です。
これを基準年と言いますが、ずばり、令和2年、2020年を基準年として計算します。
2020年のモノやサービスの値段と比較して、現在値段がそれより上か下かを把握します。
具体的には、2020年を100として、現在がいくらになっているか比較します。
100を上回るならば、物価は上昇している、
100を下回るならば、物価は下落していると捉えます。
これを、指数と言います。
ちなみに、令和4年4月の消費者物価指数は102.3です。
2年前より2.3%価格が上昇しているということです。
とはいえ、物価が上がれば悪いことばかりだけではありません。
払う方も多くなりますが、もらえるものも多くなるということになります。
ここまで、消費者物価指数の基本について2点お伝えしました。
1つが消費者物価
2つが指数
でした。

(2)実生活とのかかわり

この消費者物価指数は、我々の身近なところにも使われます。
大きく2つに分かれます。
① 収入
② 調査

です。

① 収入

代表的なものを3つ挙げます。
Ⅰ 年金
Ⅱ 児童扶養手当
Ⅲ 土地

です。

Ⅰ 年金

国民年金や厚生年金がこれにあたります。
消費者物価指数に応じて受け取る年金が上下します。
ちなみに、令和4年度は令和3年度に比較して0.4%の受給額引き下げになっています。
国民年金で言うと月額約250円
厚生年金でいうと、標準的な年金額試算で月額約900円
引き下げになっています。
今年は年明けから物価が上昇していますから、
このまま物価上昇が続く場合、来年以降の年金受給額は増えることが予測されます。

Ⅱ 児童福祉手当

児童福祉手当とは、
18歳以下のお子さんがいるシングル家庭などに給付される手当ですが、
消費者物価指数に応じて受取金額が変わります。
ちなみに、令和4年4月からは、0.2%の引き下げになっています。
児童1人の全額支給のケースでいえば、月額約90円の引き下げになっています。
とはいえ、今年は物価が上昇傾向にありますから、
物価上昇が続いていく場合、来年以降の受給額は引き上げされることが期待できます。

Ⅲ 土地

土地の補償や収用などの計算をするときに使われます。
郡山市も駅前大町地域の再開発が進んでいますが、こういったときの土地の収用には、
消費者物価指数を使用して、土地の持ち主に対する支払額の計算が行われました。
以上、収入面での生活のかかわり、3点お伝えしました。

② 調査

我々の身近にある消費者物価指数ですが、2点目に移ります。
それは、調査です。
消費者物価指数は、物やサービスの小売価格の変動であることはお伝えしましたが、
具体的にどんなサービスや商品を基準とするかは、どうやって決めているんでしょうか?
それは、国民が決めています。
具体的には、家計調査というものの結果で決まります。
この家計調査は、総務省統計局が毎月約9000世帯に対して実施するもので、
家計の支出や購入した品目などを回答してもらうものです。
ここで回答数や支出額が多かったものを抽出し、消費者物価指数の品目としているわけです。
ちなみに、対象とするモノは現在582品目あり、5年ごとに見直しが図られています。
代表的なものをお話します。
1960年の見直しでは品目からマッチが除外、代わりにテレビや冷蔵庫が追加されました。
1970年は学生帽やかんぴょうが除外、代わりにカレールウやルームクーラーが追加されました。
2005年はミシンやビデオテープが除外され、回転すしの料金やエステ料金が追加されました。
2020年は携帯型オーディオプレーヤーやビデオカメラが除外されました。
かわりに、ドラレコ、タブレット、カット野菜、ノンアルコールビール、学童保育量などが追加されています。
これだけでも時代の変遷を感じることができます。
品目が時代に応じて変化しているというのは、家計調査の結果がダイレクトに反映された結果です。
皆さんも、家計調査でなくとも、
国勢調査にご協力ください
など調査の依頼封書を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
もしかすると、お手間に感じる方、中には応じなかった方もいらっしゃるかもしれません。
今は、調査を騙ってものを売りつけたり、勧誘したり、個人情報を名簿にするような不届き者もいますから、本物かどうかの警戒はもちろん必要です。
ですが、こういった調査が、我々の生活にダイレクトに反映されることになるということを、知っていただければと思います。
調査票に記入した一つ一つが、消費者物価指数に反映され、それを基に、国の制度が決まります。
それにより、我々が受け取る年金の受給額や手当も変わってきます。
消費者物価指数を元に株価も変わります。
銀行やお勤めの企業の方針も変わります。
結局、全て自分に返ってきます。
国勢調査や家計調査については、
長い目で見れば、世の中の役に立っているし、巡り巡って自分に返ってくると感じていただければ、調査票へ記入する手間への見方も和らぐかと思います。

おわりに

今回は、2つの経済指標について、お話ししました。
1 有効求人倍率
2 消費者物価指数

経済指標というと、敷居が高いように感じるかもしれません。
大手企業やコンサルタント、学者さんが覚えればよいものと思うかもしれません。
経営コンサルタントとして言わせていただければ、経済指標は地方の中小企業にこそ必要な指数です。
東京はじめ三大都市に比べれば、郡山はお世辞にも発展しているとは言えません。
企業の規模も、中小企業が圧倒的に多いです。
だからこそです。
経営がシビアだからこそ、勉強する必要があります。
経済指標をまずは
”読める”
ということ。そして、今の時流を知ることです。
時流も、郡山と東京ではスピードが異なります。
郡山を中心に商売をするなら、郡山の時流を知る。
その上で、全国の時流を知る。
そうすれば、次の行動の一手を打つきっかけにもなります。
景気良いなー悪いなーでは何も始まりません。
指標から将来の予測を立てて実行すること。
それが、経営者として階段を一段上ることにつながると思います。

記事執筆


株式会社トライアンドエラー 税理士 代表取締役 遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
1981年生まれ 山形県出身
2000年仙台国税局採用 福島県内税務署を中心に18年間勤務。
2018年税理士事務所を設立。国税時代から法人個人含め延べ約30万件超の財務経営コンサルティングに携わる。
現在は株式会社トライアンドエラー 税理士兼代表取締役社長として、福島県郡山市の企業を中心に財務経営コンサルタントとして活動中。

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