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2024.04.23
【経営者必見】だから御社は金がない。原因と対策8選
経営相談目次
企業の命綱を理解する
資金繰りという用語は、経営にとって、生命線と言っても過言ではありません。
資金繰りは、文字通り「資金の流れ」を指し、企業がその日常業務を円滑に遂行するために必要な現金の流入と流出を管理するプロセスです。
お金の流れは人体でいうところの血液に例えられます。資金繰りが滞ってしまえば、企業は生命活動を維持することができなくなります。
安定した経営を行うためにも、経営者はその重要性を誰よりも理解し、社内の誰よりも詳しくあることが必要です。
ここでは、資金繰りの基本から、なぜそれが企業運営にとって重要なのかを掘り下げて説明します。
1 資金繰りの基本概念
資金繰りは、企業が日々の運営で直面するさまざまな財務活動の核心を成すものです。これには、以下のようなものが挙げられます。
・売上からの入金
・サプライヤーへの支払い
・従業員への給与の支払い
・新しい設備への投資
・金融機関への返済
資金繰りを適切に管理することで、企業は財務的な安定性を保ち、成長を続けることができます。
(1)資金繰りの重要性
資金繰りには大きく3つの機能があります。
① 生命維持活動
資金繰りが不十分な場合、企業はその運営に必要な基本的な費用を賄うことができなくなり、最悪の場合、倒産に至る可能性すらあります。
② 将来への投資機会
効果的な資金繰り管理は、企業が財務的な挑戦に対処し、将来的な成長機会に投資できるようにするために不可欠です。
③ 企業の信用
資金繰りは企業の信用度を決定する上で重要な役割を果たします。金融機関は、融資の可否を決定する際に企業の資金繰り状況を重視するため、健全な資金繰りは企業が必要な資金を得るための鍵となります。
(2)資金繰り管理の基本戦略
① キャッシュフロー予測
効果的な資金繰りの最初のステップは、企業のキャッシュフローを予測することです。これにより、将来の資金需要を予測し、適切な資金調達戦略を立てることができます。
② 収入と支出の最適化
収入を最大化し、不必要な支出を削減することは、資金繰りを改善する上で非常に効果的です。企業は、効率的な費用管理と収益性の高い活動への投資により、財務状態を強化することができます。
③ 緊急資金の確保
予期せぬ支出や機会への対応に備え、緊急時の資金を確保しておくことは賢明です。これにより、企業は突然の資金需要に迅速に対応できるようになります。
2 資金繰りを悪化させる主な原因8つ
資金繰りの問題は、企業の存続に直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に注意すべき原因は以下の8つです。 企業経営において成功を掴むポイントは、失敗を避けることにあります。
勝ちに不思議の勝ちあり。
負けに不思議の負けなし。
プロ野球で名選手、名監督である野村克也氏の言葉として有名ですが、元は江戸時代、第9第平戸藩主である松浦静山の剣術書に記された言葉です。
野村監督も松浦静山も組織を経営し、勝負の世界に生きる人という点で、経営者にも通ずる点があります。
成功は偶然、失敗は必然です。
失敗や悪化要因を取り除くことこそが安定した経営に繋がります。
(1) 節税への過度な焦点
節税は企業の利益を最大化する重要な戦略ですが、過度になると投資機会の損失につながることがあります。
節税は大きく繰延型と消費型がありますが、いずれも資金繰りを大きく痛める可能性があることを認識する必要があります。
対策: 節税効果は出金の3割
100出費すれば節税効果は30です。残り70以上は事業で回収する必要があります。
節税効果にとらわれすぎないことがポイントです。
成長のための投資と税金の節約をバランス良く考えます。
(2)サイト
サイトとは、取引から実際にお金が入ってくるまでの期間を指します。
売上:取引完了日から入金期限まで
仕入や経費:締め日から支払期限まで
といった具合です。
業界や慣習もありますが、これを意識するしないとでは、資金繰りが大きく変わります。
対策: 入金は前受け、出金は後払い
売上代金の前受け制度を設けることは有効です。
既存客が難しければ、新規顧客からその機会を増やしていくなど、サイトを良好なものにする努力を始めていきます。
(3)流動性のない流動資産
定期預金、定期積金は、ぱっと見いつでも引き出せる預金に見えますが、その実は現金化が非常に難しい資産になることもあります。
金融機関へ借り入れをしているときなどは特に難しく、引き出そうものなら窓口から別室や個別ブースで上役の方が飛んできて、結局現金化が難しい事態になります。
対策: 定期預金脱却
ずばり利用しないことです。もはや令和です。昭和時代の高金利は遥か過去のもの。
資金を寝かせておくどころか、ロックされている状況では企業は本当の力を出せません。
借金返済のタイミングで解約するなど、資金の流動化をはかります。
(4)固定資産への過度な投資
事業に直接関連しない不動産や設備への投資は、資金を固定化し柔軟性を失わせます。
対策: 固定資産の現金化
必要な固定資産への投資に重点を置き、資金の固定化を避けます。
株の世界には「利食い千人力」という言葉があります。
土地や株式に含み益がでている、買取の話が出ているなどのときは機を逃さず売却して、現金化を進めます。
(5)売掛金の管理不足
効果的な債権管理が行われない場合、売掛金の回収が遅れ、資金繰りに悪影響を及ぼします。
これは時間がたてば経つほど、回収が難しくなります。
対策: 売上は回収するまでが遠足
売掛金のチェック方法と、督促方法や手段のマニュアル化を行います。
迅速な回収に努め、信用管理を徹底します。
また、取引先を選ぶこと、そのためのスタッフ教育と基準設定も重要です。
上記のとおり、「売上は回収するまでが遠足」であることをスタッフにも共有し、支払いの遅れや値引きを要求する取引先はリストを作って次回からの取引に生かすようにします。
(6)過剰な在庫保有
必要以上の在庫は、保管費用の増加や資金の浪費を招きます。
対策: 在庫は売るまでが遠足
山師的な経営者は、今がチャンスと一気に仕入を行うことがありますが、在庫は売るまでが遠足です。 販売してから仕入れることも有効です。
JIT(ジャストインタイム)などの在庫管理手法を導入し、在庫コストを最適化します。
在庫管理において、「もったいない」は大敵です。
在庫あり企業が陥るわなとして、倉庫を無限に拡張してしまうことがあります。
在庫はあるだけで管理費がかかります。
これを認識するために、原価に倉庫賃料や保険料を含めるなどして売価を考える、廉価・捨て値で販売する仕組みを作るなど、在庫は悪という認識を経営者が最も抱き、実践することが大切です。
記事リンク:【経営者向け】在庫商品が経営を左右する|理由と対策
https://consulting-koriyama.jp/blog/management/828/
(7)金融機関との関係無視
資金調達の際、銀行などの金融機関との信頼関係が非常に重要です。
誤った情報によるものなのか、金融機関に対して粉飾や過度な駆け引き、決算書の不開示といった行為を行う経営者が割と多いように感じます。
対策: 正直で誠実であること
透明性のあるコミュニケーションを心がけ、信頼を築きます。
金融機関に関して、正しい認識を持ちます。
相手も商売です。危険な相手とは、取引(融資)を制限するでしょうし、良好な相手とは取引(融資)を拡大します。 担当が変わることもありますし、金融機関ごとにカラーがあります。
大切なのは、正直で誠実なコミュニケーションです。
(8)ブレーン不在
複雑な財務状況に対処するためには、会計士や財務コンサルタントなどの専門家の助言が不可欠です。
対策: 専門家との連携と専門家の見極め
複雑な財務状況に対処するためには、税理士や会計士、財務コンサルタントなどの専門家の助言が不可欠です。
また、専門家でもブレーンとなれる人材かどうかの見極めも必要です。
サービスとして行っているのか、資格を持っていても経営者としての経験はあるのか、求めるサービスと報酬が釣り合っているのかなど、資格や会社名だけでは判断できません。
企業の興亡は経営者の力量にかかっていますが、経営者の力量を左右するのはブレーンの存在が大きいです。
そして、上手くいかない多くの経営者は、このブレーンにお金を使うことを過度に嫌います。
三国時代の諸葛亮や司馬懿、周瑜しかり、戦国時代の竹中半兵衛や黒田官兵衛、直江兼続や片倉景綱など、優れた君主の元には必ず名軍師、名参謀が存在しました。
定期的に専門家の意見を求め、経営戦略を練りましょう。
まとめ
資金繰りは企業運営の基盤となるため、このプロセスを理解し、適切に管理することは、企業の長期的な成功に不可欠です。
経営者は、この基本的な経営概念を学び、その重要性を認識することが重要です。
資金繰りの優れた管理は、企業が繁栄し、未来に向かって成長するための鍵となります。
会社の再建は、経営者の資質と行動に大きく依存します。経営者が現実を直視し、素直に他人の意見を受け入れ、自ら努力することで、会社は再建への道を歩むことができます。経営者は、自身の行動と決断が会社の未来を左右することを常に意識し、責任ある選択をする必要があります。
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記事執筆者
株式会社遠藤会計
代表取締役 遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
・税理士
・行政書士
・1級ファイナンシャルプランニング技能士
・CFP
・(一財)生涯学習開発財団認定 マスターコーチ
1981年生まれ 山形県出身
2000年仙台国税局採用 福島県内税務署を中心に18年間勤務。税務調査ほか法人個人含め延べ約30万件超の決算書、申告書の分析に携わる。
2018年税理士事務所を設立。
国税時代および税理士、FPの経験から、正直に生きることが、仕事やお金に愛され、幸せに生きる人の特徴であることに回帰。「なんだかんだで正直が一番」を掲げ、長期的な視野で、持続して成長する企業づくりの支援を行っている。また、企業の安定的な財務基盤構築には経営者や従業員の家計も整える必要があるという信念の元、企業財務と経営者や従業員の家計、トータルでの財務コンサルティングを提供している。
現在は株式会社遠藤会計 税理士兼代表取締役社長として、福島県郡山市の企業を中心に財務経営コンサルタンティングを行っている。
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