freee株式会社 パートナー事業部當間 智盛
経営環境を変えるデジタルトランス
フォーメーション導入支援
株式会社トライ&エラー代表取締役・税理士遠藤 光寛
DX(デジタルトランスフォーメーション)というワードをご存知でしょうか?広義には「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」ことを意味し、ビジネス用語としては「企業がITを利用して業務体制や業績などを根底から変化させる」という考え方です。クラウド会計ソフト等の開発・導入を推進するfreee株式会社・パートナー事業部の當間智盛さんと当社代表の遠藤光寛の対談を通して、地方の中小企業が今すぐDXに取り組むことができる経理や労務管理等の分野に絞って、そのメリットや効果などをご紹介します。
freee株式会社とは!?
2012年7月創業から9年で社員572名(2021年6月時点)まで急成長し、クラウド会計ソフトやクラウド計算ソフトでシェア率No.1を獲得。個人事業主や中小企業を対象にしたビジネスモデル構築のサポートをはじめ、税理士・会計士事務所を対象にしたパートナー事業を推進している。2021年7月にはアジア地域の「働きがいのある会社」ベストカンパニーに選出された。詳細はウェブサイトをご覧ください。https://corp.freee.co.jp/
2012年7月創業から9年で社員572名(2021年6月時点)まで急成長し、クラウド会計ソフトやクラウド計算ソフトでシェア率No.1を獲得。個人事業主や中小企業を対象にしたビジネスモデル構築のサポートをはじめ、税理士・会計士事務所を対象にしたパートナー事業を推進している。2021年7月にはアジア地域の「働きがいのある会社」ベストカンパニーに選出された。詳細はウェブサイトをご覧ください。https://corp.freee.co.jp/
−freee株式会社の理念や事業内容についてご紹介いただけますか?
當間
「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」をビジョンとして、事業活動に取り組んでいます。中小企業の経営者や個人事業主の皆さんのバックオフィスを省力化し、本業に集中して経営基盤の強化を図っていただくことをめざしています。具体的な事業内容は、会計や人事労務管理、プロジェクト管理、福利厚生等のクラウドソフトを提供しているほか、カード会社と共同開発した法人用クレジットカードなども取り扱っています。さらに各種ソフトを導入いただく皆さんをサポートするのも主要な業務です。私はパートナー事業部に所属していますが、弊社のミッションを実現するために、パートナーとなる税理士・会計事務所や経営コンサルティング会社の皆さんと一緒に、お客様に導入いただくサービスやプロダクトに関する相談対応や支援活動を行っています。
遠藤
私にとって会計ソフトは必須のツールです。自身が開業する際にどのようなソフトを採用するか検討した結果、既存のインストール型は制約が多いことが分かり、クラウド会計ソフトには次世代の時代の風を感じました。クラウド会計はパソコンにデータを保存する必要がありません。freeeさんのソフトはAIが組み込まれており、自動仕訳や銀行口座と連動する機能があります。これまで人手に頼っていた作業を大幅に削減することできますので、今後はクラウド会計が確実に主流になると思いました。クラウド会計を取り扱う会社は複数ありましたが、ミッションやビジョンまで示していたのはfreeeさんだけでしたし、その考え方に深く共感したことが、タイアップを希望したキッカケです。
當間
ありがとうございます。弊社の認定アドバイザーに登録していただいて3年になりますが、今後ともパートナーシップを密にして、福島県の中小企業や個人事業主の皆さんの経営基盤強化に貢献していきたいと思います。
遠藤
私は独立起業する前、仙台国税局郡山事務所に勤務していましたので、企業の裏側から会計帳簿を見ることが習慣になっています。表面的な数値だけではなく、その背景には何があったのか?どのような要素が数値を構成しているのか?膨大な時間を費やして、やり繰りしながら数値をまとめていることが分かっていました。経理は決算書や申告書などを作成するために数値をまとめるだけでなく、経営戦略や営業戦略の策定、目標値の設定など、先々の会社経営の指針となるデータを整備しなければなりませんが、インストール型の会計ソフトはそのような機能を備えていません。freeeさんのクラウド会計ソフトはデータの集約・加工が非常に容易だったので、スムーズに経営に反映できると思いましたし、企業の在り方そのものを変えるチカラを持つだろうと感じました。
−DX(デジタルトランスフォメーション)とは?福島県内のDXの現状は?
遠藤
経理作業は単純化して正確に、しかも迅速に処理するのがベストです。クラウド会計は求めたことには正確に対応しますが、余計なことは一切処理しません。つまり人為的な操作ができない点が最大のメリットです。クラウド会計を上手に使えば、経理業務の時間を大幅に短縮できますので、余剰時間は本業の実績を伸ばすことに費やすことができます。地域や業界内で競合に優位性を獲得するための諸活動に取り組めると思います。
當間
DX(デジタルトランスフォーメーション)について、改めて説明させていただきますと、新しい技術によって業務フローそのものを改善することが本質だと思っています。これまで紙ベースで確認・管理していたものをエクセルデータに変えるだけでは、業務フロー自体は変わりません。アナログとデジタルが混在して作業が非効率になってしまうリスクもあります。業務全体を見直して、最終的にどのようなツールを使ってデータを仕上げるかを設計した上で、仕組みをつくるのが、DXのポイントだと考えています。日本の企業文化が影響することですが、自分たちの業務にデジタルを寄せようと考えがちですが、むしろ既存のデジタルツールに自分たちの業務を合わせて改善する方法が望ましいですし、スピーディにDXが進むと思います。
遠藤
DXに対する考え方は、freeeさんとまったく同じです。同じ方向をめざすfreeeさんとタイアップしたことで、私のチカラでもDXを普及させることが可能になると考えています。国の施策として中小企業のIT導入を支援する補助金制度もあり、私も申請業務をお手伝いしています。
當間
補助金を利用してfreeeのクラウド会計ソフトを導入していただいているケースも多々あります。
遠藤
「企業が永続的に発展していく」ことをお手伝いすることが、私の目的です。極論すればDXはそのための一時的なツールです。「補助金ありき」ではなく、企業の発展性や社長が満足する経営状態など、「いかに目標達成に貢献できるか」に焦点を絞って、最速で目標達成できる方法をお客様に提案し、支援していきたいと考えています。DXは企業発展の手段として極めて親和性が高いツールです。経営者の方やスタッフの皆さんが必要性を実感しないと失敗しますので、お客様に少しずつご理解いただきながら、導入をお勧めしているところです。
當間
福島県に限らず、地方都市はDXがあまり普及していない傾向があります。その理由としては、地方には遠藤さんのように支援できる人、ステークホルダーが少ないことが挙げられます。東京都内であれば、身近に情報が溢れていますし、DXを支援できる人も数多く存在します。私たちもコロナの影響もあり、地方の企業を訪問・支援できていません。私たちはDXのその先の企業の事業活動が大切だと思っていますが、それを理解してデジタルツールを使用していただいている経営者の方が、地方都市ではまだまだ少ないの現実ですし、DXが普及しない原因だと思っています。現場で対応されている遠藤さんは、どのようにお考えでしょうか?
遠藤
肌感覚ではありますが、東京と福島ではDXの普及に3~4年の時差があります。3~4年の遅れは、大手企業が福島に進出して各分野の市場占有率を高めるのに十分な時間です。残念ながら、DXについては対岸の火事でしかありません。地方都市は企業のヨコのつながりが強いので、誰も取り組んでいないことには手を出さず、現状維持で満足してしまいます。新しい取組をする会社があると、他社は出る杭を打つという行動に出ます。出る杭が4~5本になると一気に形勢は変わるんでしょうが、その前段階で1~3本目の杭にならないと、市場で上位を占めることは難しいと思います。福島県内でも何とかしたいという経営者は、少数ですがいらっしゃいます。そのような方々にDXの理念や目的などがしっかり届くように、私自身の知名度を高めなければならないと思っています。単に目新しさだけでは向き合っていただけないので、お客様の実績がアップしていることをお伝えできれば、状況を変えることができると思います。実際にクラウドソフトを導入していただいたお客様は各業界で発言力を増していますので、さらに私が各社を支援して明確に数値として表れてくると、DXを推進する環境が整うのではないかと考えています。
−地方都市でDXが遅れている理由として、IT機器やソフトの導入費用は影響していますか?
遠藤
freeeさんのクラウド会計ソフトを例にすれば、導入費用は格安です。単純に会計ソフトとして金額を比較すると、市場価格とほぼ同じですが、100%フルに使えたとすれば大きな違いが出ます。省力化によって経理の人員削減、あるいは残業代を減らすことができて、売上アップに貢献できれば、格安どころか、激安ですね。
経理業務やクラウドソフトに精通していれば、期末決算まで対応できる機能を備えています。現実的には期末決算業務は専門的な知識が求められますので、私たちにお任せいただくケースがほとんどですが……。
経理業務やクラウドソフトに精通していれば、期末決算まで対応できる機能を備えています。現実的には期末決算業務は専門的な知識が求められますので、私たちにお任せいただくケースがほとんどですが……。
當間
法人向け会計ソフト、人事労務ソフト、法人税セルフ申告ソフト、個人事業主向け経理・申告ソフトなど、様々な製品をラインナップしており、お客様の目的や従業員の規模に応じて提供しています。複数のソフトを組み合わせて提供するケースも増えています。最も選ばれているベーシックプランは、初期費用0円・年間47,760円(税別)でご利用いただけます。ネットバンキングやクレジットカードから明細を取得し、設定した仕訳ルールやAIの推測よる「自動的な記帳」をはじめ、決算書作成、見積書・請求書・納品書作成、定期・一括請求書作成、入金・支払管理、従業員の経費精算、インターネットバンキングと連動したワンクリック振込などが、主な機能です。経営者や経理担当者の方にお使いいただくには十分だと思います。
遠藤
ベーシックプランは会計・経理に限定した基礎的なソフトです。このソフトを使うことで経理の効率化、省力化に貢献するとともに、数値を可視化することにもなります。詳しくはfreeeさんのウェブサイトをご覧いただくと、ご理解いただけると思います。結論として、福島県をはじめ、地方都市でDXの導入が遅れている理由は、コストの問題ではなく、経営者の皆さんの意識や理解度が原因だと思います。
−freee株式会社の認定アドバイザー制度の趣旨や特徴は?
當間
税理士や会計士、経営コンサルタントなど、士業をはじめとするユーザーのバックオフィスに関わる皆さんを対象とする制度です。遠藤さんのように、弊社が規定した個人資格を取得し、クラウド会計ソフトの導入実績など、一定の条件を満たした方だけに認定アドバイザーを務めていただいています。弊社が提供する様々なクラウドソフトの操作をサポートしていただいたり、お客様がDXの本質を理解して業務改善に取り組む際のデジタル化の支援などが主な役割になります。従来型の会計事務所は、業務改善の領域まで踏み込むことはありませんので、クラウドソフトの導入支援に携わることは、大きなチャレンジだと思います。認定アドバイザーの個人資格は「freee会計エキスパート」「freee会計上級エキスパート」「freee人事労務エキスパート」の3種ありますが、福島県内で3種の個人資格を持っているのは遠藤さんだけです。全国的にも3種の個人資格を取得している方は、ごく少数だと思います。そのため導入件数が優位に働く星の数はこれから増える段階ですが、私の目から見ても遠藤さんは質の高いサポートを行っていらっしゃいます。
遠藤
認定アドバイザーになった当初はお客様のクラウド導入に際してスムーズに進まない事例もありました。その原因は、経営者の方が単に会計ソフトをインストール型からクラウドに変えると考えた場合はダメでした。「お客様の課題を改善するツールとしてクラウドソフトを導入する」という理解を得ることの必要性を痛感しました。こうした問題を解消するために、徹底的にヒアリングを行い、デジタル化の余地を確認した上で、お客様に提案するようにシフトしました。お客様にメリットをご理解いただけない場合は、既存のインストール型ソフトを継続使用していただくという結論です。先ほど當間さんに「お客様を絞り込んで質の高いサポート」とお褒めいただきましたが、その理由にはこのような事情があります。クラウドソフトが「プラスになる」「親和性が高い」という判断に加え、経理業務の効率化・省力化や業績向上に貢献できる点などをご理解いただいた場合のみお勧めしています。
當間
お客様の考え方や事情、理解度による対応も必要ですね。確かに経営者がOKしても、経理担当者は一方的に経理ソフトを変更するよう指示されたら、反発することもあるかもしれません。クラウドソフト導入の目的や効果を理解していただければ、自ずと反応も違うかと思います。
−freee株式会社さんは認定アドバイザーをPRする活動も行っているようですが?
當間
弊社のウェブサイトに税理士検索のページがあり、freee対応可能な全国の税理士や会計士の皆さんが認定アドバイザーとして登録されています。「福島県」「業種」「依頼内容」を選んで検索していただくと、遠藤さんが上位に表示されます。強みのあるサービスや業種、特徴なども掲載していますので、参考にしていただけます。税理士検索ページには送信フォームを設けています。税理士検索ページから選んだ税理士さん宛に会社概要や依頼内容等を入力・送信していただくと、税理士さんと直接コンタクトすることができます。またfreee宛にご相談いただくことも可能です。お客様が求める条件と税理士さんがお引受けできる条件をマッチングしてご紹介しています。また税理士検索ページに、「税理士相談Q&A」というコンテンツがあります。お客様が気になっていることを税理士さんにご相談いただく機能ですが、相談と回答のやりとりのなかで、お客様の満足度が高ければ、仕事をご依頼いただくという仕組みです。
遠藤
freeeさんの認定アドバイザー制度は、税理士や会計士を支援するサービスも充実しているので、心強い限りです。
−なぜクラウド会計に切り替えた方が良いのか?メリットは?
遠藤
ここで具体的なお話しをさせていただきますが、例えば銀行口座です。3つも4つも銀行口座を持っている会社が見受けられますが、請求書や現金出納帳との照合作業が大変です。銀行口座を1行に絞ると、入金・出金の管理がシンプルになります。営業車のガソリン代を現金で立替払して、領収証を受け取って現金精算しているケースが多々あると思いますが、法人クレジットカード決済に切り替えれば、領収証の管理や小口出金は不要になります。請求書等の帳票類はスキャンしてデジタル化すれば、freeeさんのクラウドソフトは自動的に帳簿に起こしてくれますし、銀行口座と連動する機能もあるので、銀行の窓口に出向く必要もなくなります。その浮いた時間を使って経理担当者は、経営者や営業職に代わって見積書を作成するなど、業務を広げることができます。その結果、経営者や営業の方は得意先を訪問する時間が増えて受注活動に取り組むことができます。バックオフィスをデジタル化することによって、結果的に残業が減って、半年後、1年後には売上が伸びるという理想的な循環が生まれます。
當間
DX導入による望ましい効果ですね。
遠藤
お客様によっては領収証や請求書などを当社で預かって、クラウドソフトのデータ入力から対応し、完璧な会計帳簿に仕上げて納品する場合もあります。この方法でも経理作業はほとんど無くなります。また入出金の方法を見直しすると経理処理はかなり簡素化できます。社長が経理を担当していた会社の事例ですが、クレジットカードは1社、ネットバンキングは1行に限定して、現金も例外的な立替払いの精算だけ。こうした省力化によって経営戦略を練ったり、取引先との打合せに出向いたり、経営者の本業に専念できるようになりました。私が取引しているすべてのお客様を同様の経理処理に変えたいと思っています。
當間
1つの会社が複数の金融機関と取引するのは融資の都合で口座を作らざるを得なかったり、決済手数料を安価に抑えるために取引先と同じ銀行口座を開設するケースもあります。そのため実務的には手間が増えるケースが多いと考えています。
−最後に経営者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
當間
DXは経営環境を整備する手段という位置付けで捉えています。DXのその先の事業拡大や企業の成長を実現することに、本質的な価値があると考えています。私たちは「リアルタイム化」というワードを使っていますが、DXによってリアルタイムに経理業務を行って、リアルタイムに経営判断できる状態をつくることが、経営者の方にはますます必要になるのではないでしょうか。業務フローが10数年間変わっていないという会社もあると思いますが、そのような場合は遠藤さんのような認定アドバイザーにご相談いただいて、客観的にチェックしていただくと、いろんな気付きがあるでしょうし、10数年前には無かった新たなツールを使って業務フローを改善することができます。しかも会社の現状やポジションが数値を通してリアルタイムに分かるようになります。会社の現状やリソースに囚われず、経営者の方がめざすビジョンや目的に到達するための手段として、DXを有効活用していただくのが、賢明かと思います。
遠藤
「これから起業したいとお考えの方」「会社経営に行き詰まりを感じている方」、それぞれにまとめのお話しをさせていただきます。まず会社設立後、短期間で強い組織をつくって業界上位をめざそうという方は、あらかじめご相談いただくのが良いと思います。その理由は、DXを組み込んだ最新版・最適化した業務フローからスタートアップできますので、本業に情熱と時間のすべてを費やせば、夢を実現できると考えるからです。次いで経営に行き詰まりを感じている方ですが、取り組みたい業務が山積していても時間が不足して対処できないことが、主な原因ではないかと思います。時間を確保するためにはDXが有効ですし、DXの導入についてはfreeeさんや私が支援できますので、経営者の方は時間的な余裕が生まれて本業に集中すると成果が高まり、やがて行き詰まりという課題を解決できるようになります。以上のような考え方に基づいて、企業のDX導入をお手伝いさせていただきます。
當間
先ほど説明しました地方都市のDX導入について補足しますと、経営者の皆さんにDXをお勧めできる身近な存在は、税理士事務所・会計事務所だけだと思っています。都内と違って経営コンサルティング会社はごく少数でしょうし、先行してDXを導入している同業の経営者に相談することもできません。しかもDXの先にある経営戦略の策定などは税理士さんや会計士さんの本業であり、ベストの立ち位置にいらっしゃるので、まずは相談していただくのが良いと思います。
遠藤
今後とも福島県内の企業のDX導入に全力で取り組んでいきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
−ありがとうございました。
カメラマン:Takeru Ichii
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