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日々の財務・経営に役立つ情報発信
2022.04.24
【経営者向け】車の選び方を考える
経営相談コンサルタントをしていますと、経営者の方から様々なご質問をいただきます。
つい先日も、ある経営者様から、
「仕事用に外車かレクサスを買おうと思ってます。どう思いますか?」
とご質問をいただきました。
私がいる福島県郡山市は、車社会ですから、車というのは、生活に密接に紐ついています。
実用性も必要です。
そこで、今回は経営者の車選びについて、
財務経営コンサルタントとしての立場からお話ししていきたいと思います。
目次
2つの検討方法
コンサルタントとしてお勧めする経営者の車選びですが、2つの検討方法をご紹介します。
1 4倍以上の売り上げを達成すること
2 5つの予算
この2つの検討方法があります。
1つ目の4倍以上の売り上げは、
車両購入価格から新たに達成する売上を計算していく方法
2つ目の5つの予算は
車にかける予算を積み上げて計算していく方法
です。
経営者の車選びは、サラリーマンのような
雇用されている方とは異なる考え方をします。
この考え方はあまり知られていませんので、
知っていれば、経営者としてアドバンテージを得ることができます。
大前提:何乗ってもOK
まず、大前提として申し上げますが、
経営者はどんな車乗っても基本自由です。
新車の高級車であろうが、中古の軽自動車に乗ろうが、基本自由です
金額も自由です。
安かろうが高かろうがなんでもOKです。
重要なのは、自由の代償としての責任です。
私が財務経営コンサルタントとして、一貫して申し上げるのは、
責任さえ果たしてくれれば車は何でもいいということです。
責任を果たさない時が、
経営者として鼎の軽重を問われることになります。
そこだけ留意していただければと思います。
経営者の仕事とは?
経営者のお仕事とは、何でしょうか?
営業でも、
製造でも、
経理でもありません。
それは、
投資と回収
です。
どういうことかというと、使ったお金、使った時間、使った人員
これを元手に、
それ以上のリターンを得ることが経営者のお仕事です。
経費を1,000,000円使ったならば、
1,000,000円以上新たに稼げないんであれば、経営者として失敗です。
稼ぐというのは、売上げのことではありません。
利益として回収することを稼ぐといいます。
利益っていうのはざっくり言えば、
利益=売上-経費
です。
経営者のお仕事、改めて申し上げれば、
投資と回収です
さらに回収は売り上げではなくて、
利益ベースで考えることが重要です。
1 4倍以上の売上
1つ目のテーマである4倍以上の売り上げについてお話ししていきます。
これは、車両価格の4倍の売り上げを新規で達成すると言うことです。
1倍の売り上げの根拠は、粗利益と言う概念です。
売り上げ総利益とも呼びます。
以下が、計算式です。
粗利益=売上−原価
大事なことなので、もう一度お伝えします。
粗利益=売上−原価
です。
どういうことかと言うと
例えば、
お店を経営していたとして、店頭で10,000円の商品を売ります。
これが売上です。
その時仕入れ値には7000円かかってます。
これが原価と呼ばれるものです。
商品を売る上で、絶対かつ直接必要な費用のことです。
商品が売れたとすると、
10,000円の売り上げ− 7000円の原価=利益は3000円となります
本来ならここからお店の賃料や、スタッフさんのお給料などを支払い、
最終的な利益を計算していくようになります。
ただ、まずはざっくりした利益、売上から原価を引いたもの
という意味で粗利益と呼びます。
日本の中小企業の粗利益率の平均値は売り上げの25%です。
10,000円売れたら7500円は原価、2500円は粗利益
ということになります。
もっとも、業種ごとの違いはあります
平均は粗利益率25%であることをお伝えしましたが、
全業種ならしての率ですので、
自分の業界の粗利益率に置き換えていただければ、より精度が高まります。
この率を、
使ったお金の何倍の売り上げを稼げばトントンになるかという計算に置き換えます。
100% ÷ 25%=4
つまり4倍となります。
ですから、
10,000,000円の車を買えば、40,000,000円新しい売り上げを作る
その算段があるのであればどうぞお買いになってください。
逆も然りで、
1,000,000円の車買って4,000,000円の売り上げが作れないのであれば、買えません。
10,000,000円の車を例に出した時、
売上は40,000,000円作ることを挙げましたが、
車に乗ってる年数で割り返せば、1年ごとの売上額が計算できます。
例えば10,000,000円の車を買って5年間乗る場合なら、
5年間で売り上げを40,000,000円作ってもらえばいいので
1年あたり8,000,000売り上げを新しく作ればOKです。
ここからは注意点です。
売上は経営者の頑張りで作ってください。
販路開拓、戦略策定、新商品開発
ありとあらゆる頑張りを経営者がすることで作って下さい
従業員を叩いてやるのはNGです。
そして、4倍に行って初めてボーダーラインです。
10,000,000円の車を買いました40,000,000売上作りましたではまだ及第点です
40,000,000+1円以上
それなら、初めてボーダーライン突破、合格です
経営者の仕事は投資と回収です。
投下したお金以上に利益として回収する。
車の購入はそのための手段と捉える。
それを念頭に、車を選んでいただければと思います。
【動画解説】①売上4倍法
2 5つの予算
ここからは、コンサルタントがお勧めする経営者の車選びの目線2つ目、
5つの予算について取り上げていきます。
1 広告
2 安全
3 能率
4 リセールバリュー
5 税金
この5つです。
動画解説 ②5つの予算
(1)広告
まず1つ目に、広告があります。
これは車を広告代として見るという考え方です
例えば、人にお会いすることが多い経営者、
業界団体、地域の顔役をお勤めの方のような、
人から見られやすい立場や業種の方は
自分を広告塔として、月に出せる予算を決めるという考え方です。
外から見た業績の良し悪しは、車や社屋が分かりやすいです。
儲かっていそう、厳しそう、という評価につながってきます。
本当のところなんて財務担当や経営者しか知らないんですが、
人はそう判断します。
地域の顔役みたいな方ですと、
ホテルとかで会合が頻繁にあったりします。
その時に、車で足元見られて、裏の駐車場回るよう誘導されてしまったりとか、
不都合があるかもしれません。
最も恐ろしいのは、
契約に結びつかなかったり、オファーが途切れたり
ということです。
自分自身が広告としてどれぐらいの価値があるのか
そして広告として生かすことができるのか?
と言うことを考えて月々の予算を決める。これが一点目です。
(2)安全
コンサルタントがお勧めする経営者の車選びのポイント、2つ目は、
安全です。
これは交通事故があります
これには2通りありまして、体の防衛と社会的立場の防衛があります。
つまりは、
自分と相手の命を守る
ということです。
まず経営者というのは会社のトップなわけですから、
万が一があっては従業員や取引先が困るわけです
そういう意味では自分の命を守るし、大怪我を負わない安全対策が必要になってきます。
さらにもう一つ重要なのは相手の命です
もし相手の方がケガを負ってしまった、最悪亡くなってしまったとすれば、
経営者の今後の人生はおろか、会社存続にも差し障りが出てくる可能性があります。
ですから、事故に遭っても自分を守るのは勿論、相手も守るという観点が必要です
それで言えば、日本車っていうのはそこを考慮して作られています
だから、すぐ凹むしボディーがペコペコです。
衝撃吸収するように柔らかく作ってあります。
ですが外車はそうじゃないんです。
外車は載っている人の命を重視してますのでガチガチに固めてあります。安心です。
逆を言えば、相手は大ダメージです。
特に、今の日本は高齢化社会です。
日中、車運転してると自転車で道路の真ん中くらいまで出て来てしまったり、
赤信号でもフリーダムな方、見かけませんか?
その時、うっかり接触してしまった場合、こちらが外車の場合、相手はただでは済まないはずです。
・経営者は加害者側にも被害者側にもなってはならない
・万が一には損害を最小限に抑える
必要があります。
ドラレコ、自動ブレーキは必須です。
したがって、安全面という視点で月額予算を決めていただく必要があります。
(3)能率
コンサルがお勧めする経営者の車選びポイントの3つ目は、
能率です。
これは経営者のパフォーマンスを上げるまたは下げないということに
毎月いくら使えるかを考えていただきます。
例えば、
疲れにくいシート
前の車を追従してくれる機能
自動でカーブしてくれる機能
など、
負担を減らして、仕事に使える時間やエネルギーを温存することができる
これに月いくらまでならかけることができるかという視点で予算を検討します。
(4)リセールバリュー
コンサルタントがお勧めする経営者の車選び、4つ目が、
リセールバリューです
これは、買取価格のことを言います。
廃車になるまで乗る予定の時は0円ですが、
例えば、5年間車に乗って売却した場合は買取価格がいくらになるのか、
そのおおよその売値を想定しておきます。
極端な例ですが、
フェラーリを3000万円で買っても5年後2900万円で売れればかなり効率が良いわけです。
今はインターネットで買取価格を大体調べられますから
何年間乗るのか?それでいてその時の買取の値段はいくらなのか
ということを、予算として検討することができます。
(5)税金
コンサルタントがお勧めする経営者の車選び、5つ目が、
税金です。
ここが経営者がお仕事に使う車、最大のメリットといえます。
これは、ざっくり申し上げて車両価格の3割分安くなると思ってください。
詳しくは割愛しますが、事業に使う車は事業の経費になります。
もちろん数年にわたって経費にするなどやり方は様々ですが、トータルすると
車両価格の3割位税金は安くなると考えてもらえばよろしいかと思います。
計算式としては、
(1)から(4)の合計金額に、税金分として1.4倍すればだいたいその数字が出てきます。
1.4倍というのは、1を(1ー0.3)で割り返せばその数字が算出されます。
具体例をご説明していきたいと思います
5年乗ると仮定します。
ここから予算を計算していきます
1 広告に月10,000円
2 安全に月20,000円
3 能率に月20,000円
合計月額50,000円となります。
これに5年間ですから60ヶ月をかけると3,000,000円です
(1)から(3)までの合計で3,000,000円でした。
そして(4)リセールバリューです。
5年経過して、500,000円で売れるとしましょう。
ここまで(1)から(4)の合計で3,500,000円の予算になります
最後です。
これに税金が安くなる分を見越して1.4倍します
そうすると4,900,000円と算出されます。
ですから車の予算はコミコミで上限4,900,000円と考えることができます
そして、購入価額を下回れば下回るほど投資回収できていると言えます。
例えば
4,900,000円の経済効果を得るために
8,000,000円の車を購入した場合、
3,100,000円のマイナスです。
片や
4,900,000円の経済効果を得るために
2,000,000円の車を購入した場合、
2,900,000円のプラスです
何度も言いますが、
経営者のお仕事は投資と回収です。
投資した金額を超える金額を回収することが経営者のミッションです。
以上、コンサルタントがお勧めする経営者の車選びポイントを、
(1)~(5)にわたり、お伝えしました。
3 おわりに
今回は経営者の車選びについて、コンサルタント目線で、2つの点を取り上げました。
1 車両価格の4倍以上、新規の売上げを達成すること
2 5つの予算から車選びを考える
両方備えれば完璧ですが、
どちらか1つを選ぶだけ
でも充分だと思います
経営者の車選びというのは、ワクワクする半面、悩むところでもあります。
ですが、
経営者の本業は投資回収業です。
車を買うことも投資の一環として捉える
そして最大の回収効果を狙っていく
このマインドがあるのであればおのずととるべき道が見えてくると思いますし、
事業はもっともっと大きくなっていくと思います。
記事執筆
株式会社トライアンドエラー 税理士 代表取締役 遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
1981年生まれ 山形県出身
2000年仙台国税局採用 福島県内税務署を中心に18年間勤務。
2018年税理士事務所を設立。国税時代から法人個人含め延べ約30万件超の財務経営コンサルティングに携わる。
現在は株式会社トライアンドエラー 税理士兼代表取締役社長として、福島県郡山市の企業を中心に財務経営コンサルタントとして活動中。
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