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2022.08.25
【知っておきたい社長の知識】仮想通貨とは? ②応用編
経営相談財務コンサルタントをしていますと、財務のことに限らず、様々なご質問をいただきます。
つい先日も、郡山の経営者の方から、
「仮想通貨についてどう考えるか?」
といった趣旨のご質問をいただきました。
質問の中には、懐疑的なニュアンスが感じられました。
これは、当然の反応と考えています。
日本人は投資にあまり馴染みがなく、お金の話はタブー視する傾向があると思います。
ましてや、仮想通貨ならさらにその傾向が強いかも知れません。
事実、郡山の経営者様やFP相談を行うお客様の中で、
仮想通貨を所持、取引しているという方にはお会いしたことがありません。
懐疑的な印象を抱くのは、情報が不足しているためと考えています。
ですから、このテーマについては、財務コンサルタントというより、
私個人が考える仮想通貨の捉え方について、お話させていただきます。
目次
仮想通貨 応用編
前回は、仮想通貨の基本について、3つの大きなポイントに言及しました。
リンク:【知っておきたい社長の知識】仮想通貨とは? 基本編
1 仮想通貨の基本
2 仮想通貨の種類
3 仮想通貨のしくみ
今回は、仮想通貨の応用編について大きく2点、お話ししていきます。
1 入手方法
2 なぜ世界中で使われるか?
です。
これらを知ることができれば、仮想通貨について他の方に説明できるくらいの知識が身につきます。
郡山でも指折りの仮想通貨に詳しい方になれると思いますので、
是非ご覧いただければと思います。
1 仮想通貨の入手方法
仮想通貨の入手方法ですが、全部で3点あります。
(1)取引する
(2)もらう
(3)マイニングする
この3つです。
(1)取引する
この方法が仮想通貨を入手する一般的な方法です。
これは仮想通貨取引所に口座を作り、購入します。
・円で買えるもの
・ドルだけで買えるもの
・一定の仮想通貨で買えるもの
など、様々です。
取引所でお金と引き換えに仮想通貨を入手する。
これが1つ目です。
(2)もらう
仮想通貨は、相手先のアドレスと呼ばれるお財布番号さえ知っていれば、
仮想通貨の送金が可能です。
仮想通貨取引所によっては、キャンペーンを開催するなど、有利な特典をつけているところもあります。
・口座を開設するだけで仮想通貨プレゼント
・〇円以上取引すると、〇円プレゼント
これが仮想通貨入手法2つ目の、もらうという方法です。
(3)マイニング
これは、発掘するということです。
金や宝石など希少価値のあるものを
掘り起こすという意味が由来です。
仮想通貨の価値は、台帳にあります。
台帳の維持は膨大な計算に基づいています。
パソコンを何十台、何百台もつなげて、
ひたすら台帳計算、書き換えのプログラムを稼働させている方がいます。
そうすることで、報酬としてコインが貰えます。
最新鋭のパソコンを稼働させてプログラムを作動させておけばよいので、
個人でもお小遣い稼ぎにチャレンジしていた方もいらっしゃました。
余談ですが、副業としてマイニングに世界中の人々がチャレンジしたため、
パソコンのビデオカードの値段が高騰しました。
日本では、貰える報酬より電気代の方が高いため、
やっている人は減ってきているようです。
ですが、電気代の安い国で大々的にデータセンターを建設することは、
ビジネスとして有効です。
事実アメリカやカザフスタン、ロシアなどではマイニングが盛んです。
ここまで、仮想通貨の入手方法3点お伝えしました。
1 取引する
2 もらう
3 マイニングする
です。
2 なぜ世界中で使われるのか?仮想通貨の魅力
ここからは、仮想通貨の魅力を6つの点から、お話ししていきます。
(1)実物がない
(2)価値は市場が決める
(3)全世界で使用可能
(4)偽造不可
(5)コピペ不可
(6)非常時に強い
です。
(1)実物がない通貨
仮想通貨は紙幣や貨幣のように、実物がありません。
全ての取引はインターネット上で完結しますから、
紙幣や貨幣のようなものは存在しません。
お財布に入れて持ち運ぶということもありません。
勿論、コールドウォレットと呼ばれる専用USBに通貨を保存する方法はありますが、
基本的に、仮想通貨はインターネット上に存在しています。
パソコンがなくても、仮想通貨取引所に
ログインできる端末さえあれば、いつでも取引が可能です。
この時点で、クラウド化の先にある技術ともいえます。
(2)価値は市場が決める
仮想通貨は、今世界に6000種類以上あると言われています。
メジャーなものもあれば、草コインと言われる、マイナーなものまで様々です。
これらの価値は、使う人が決めます。
お店のレジを思い出していただければと思います。
クレジットカード、電子マネー、QRコードなど、
どの決済方法を使えるかはお店によります。
どの支払方法をとるかは、お客によると思います。
ただ、現金は日本全国どこのお店でもほぼ使えると思います。
仮想通貨の場合、
お店で言うところの「現金」がないと考えます。
どのクレジットカードや電子マネー、QRコードを使うかは、お店とお客、
つまり、参加者次第です。
ビットコインなどのメジャーなものは取引できる機会が多いでしょうが、
マイナーなものは取引に対応していません。
これが、価値は参加者、すなわちユーザーが決めるという意味です。
加えて、もう一つの特徴ですが、
使う人が多ければ、価値は上昇します。
事実、10年前、ビットコインは1万枚でピザ2枚分の価値しかありませんでした。
ですが、今はビットコイン1枚で300万円を超えています。
もし、その当時ピザを買わずビットコインを1万枚もっていれば、
300億円になっています。
これは、多くの人に支持されれば
価値は上がるという経済の原則そのままです。
今や、ビットコインのユーザー数は世界で40億人です。
必然的に、価値は上がります。
逆に、誰にも使われず、消えていった仮想通貨も存在します。
・使う使わないかは自由
・使う人の多さによって価値が決まる
以上が、仮想通貨2つめの特徴、価値は市場が決めるということでした。
(3)全世界で使用可能
日本ではなじみが薄いかもしれませんが、
世界では、預金通帳を持っている人は、稀です。
事実ロシアやインドで、金融機関口座を所持している人は2人に1人といわれています。
インドネシアやフィリピンは5人に1人しか持っていません。
こうした国の多くの若者は、今他国で出稼ぎ労働者となっています。
とくに、日本と異なり大陸は地続きなので、
国境をまたいで単身赴任や通勤といったこともあります。
このとき間違いなく壁になるのが、母国への仕送りです。
・通貨が違う
・高い換金手数料
・為替レート
・母国の家族が銀行口座を所持していない
・口座を作れない
といったことが問題です。
とくに、口座を作れないということには、
その国独自の身分制度が根強く潜んでいることもあります。
ですが、仮想通貨なら誰でも口座を作ることが可能です。
インターネットにつながる端末させあれば、
どこでも誰でも口座を作ることができます。
そして、給料を仮想通貨に変えることで、全ての問題は解決します。
これの顕著な例が、
ロシアとウクライナの紛争です。
ウクライナ政府が世界中に寄付を募り、結果莫大な寄付が寄せられました。
この手段に、として仮想通貨が使われました。
仮想通貨は、その人のインターネット上のアドレスさえわかれば、
手数料もかからず送金することができます。
ウクライナ政府がSNSにアップして拡散したところ、
世界中から寄付が集まりました。
現金預金ならこうはいきません。
・通貨の壁
・両替の壁
・国際的金融の壁
・間に入った団体
・政府による口座凍結
など、
さまざまなものをクリアしないと、その人の手元には届くことはありません。
お金があっても、物資を買うためには海外から買い付けなければなりません。
そのとき、両替が必要です。
ですが、仮想通貨ならショートカットして
ダイレクトにお金を届けることができます。
ダイレクトにモノを買うこともできます。
さらに、ビットコインなどの国際的にメジャーな通貨であれば、
ユーザーは40億人いますから、世界中で使用可能です。
ユーザーを日本円に置き換えた場合、1億2千万人+アルファです。
世界基準ではどちらが良いでしょうか?
言語と同じです。
世界の言語が1つに統一されれば、
大抵の障壁はなくなります。
表示も読めるし、外国語を学ぶ必要もありません。
取引するのも旅行するのも、住むことさえ自由自在です。
これが、通貨に起こり始めました。
・全世界で使え、取引の手間がなく、両替をすることもない。
・銀行口座を所持せずとも、送金が可能。
・口座はインターネット上にあるので、物理的にパソコンやスマホが壊れても、IDとパスワードさえ覚えておけば資産は保全される。
・国家や国家間の縛りを受けない。
・戦争や災害で失われることもない。
それが、この度のウクライナ紛争で実証されました。
これが、仮想通貨の特徴の一つ、全世界で使用可能であるということです。
(4)偽造不可能
仮想通貨は紙幣や貨幣のように、実物がありません。
全ての取引はインターネット上で完結しますから、
紙幣や貨幣のようなものはありません。
そのお金が正しいかどうかをどうやって保証しているかという点ですが、
分散台帳方式という、世界中に散らばった台帳がそれを保証しています。
例えばでお話します。
日本で発行されているすべての1000円札の
1枚1枚に管理台帳があると仮定します。
そしてその管理台帳には
〇月〇日AさんからBさんに渡しました。
今はCさんが持っています。
といった記録が通貨発行依頼記されています。
それを仮想通貨を所持する人全員が持っているようなイメージです。
今取引で使う1000円札が正しいものかどうかは、
台帳で判断します。
私がAさんに1000円払うとして説明します。
台帳は私とAさんがそれぞれ持っています。
私がAさんに1000円払いました。
今渡した1000円札の所有者は遠藤であると、台帳に書いてある
ここでポイントは、台帳は2つあるということです。
遠藤が持つ台帳には所有者が遠藤と書いてある
そして、Aさんが持つ台帳にも所有者が遠藤と書いてある。
だからこの1000円札は本物の確認がとれたため、取引が成立します。
そして1000円をAさんに渡した瞬間、
私とAさんを含め世界中の人が持つ台帳には、
所有者はAさんに移転したことが書かれます。
一人が台帳を不正に書き換えても、
他の人が持ってる台帳と照らしあわせれば不正がわかります。
これが、分散台帳方式です。
そしてその台帳は、仮想通貨を使う40億人以上が持っています。
偽造しようとしたら、
世界の半分以上の台帳を一瞬で書き換えるような、
技術と通信回線能力が必要です。
普及すれば普及するほど台帳は散らばっていきますから、
ますますセキュリティが高まっていく仕組みです。
(5)コピペ不可能
コピペとは、コピー&ペーストを指します。
すなわち、増産です。
大抵の仮想通貨は、生み出された時に発行枚数が決まっています。
例えばビットコインであれば21,000,000枚と決まってます
これ以上増えることはありません。
これが、政府が発行する現在のお金との違いです。
円でもドルでも、
政府は困ったときに印刷機を大量に回せば、何とかなってしまいます。
ただし、そうすると、お金の価値は下がって、
モノの値段が上がります。
すなわち、
インフレーションという現象を引き起こします。
現在も世界的なインフレーションにより、多くのものの価格が上昇しています。
社会などの教科書で、
コーヒー1杯を買うのに
トラック1杯の札束が必要になる現象として、紹介されていたのを
覚えている方も多いかもしれません。
これは、モノよりもお金が増えてしまったため、
お金の価値がなくなってしまう現象なんです。
発行枚数が予め決まっていれば、
お金の枚数は増えることはありませんので、
欲しい人が増えれば増えるほど、価値は上昇することになります。
(6)非常時に強い
今回のウクライナ情勢を例として、お伝えします。
ロシアの進行が始まってから、
貨幣の面から見れば、
ロシアもウクライナも良いことがありません。
ロシアの通貨、ルーブルは一時半値近くになりましたし、
ウクライナの通貨、フリブニャも10%安くなりました。
ニュースでも、スーパーに行列を作るロシアの人々映像が映ったと思います。
国がなくなってしまったら紙幣は紙くずになります
誰も保障してくれないものをお金とは呼べないからです。
ですが、仮想通貨の場合、
どの国が破綻してしまっても、
他の国で使うことができます。
代金の支払いは
ルーブル払いもフリブニャ払いも遠慮したいですが、
ビットコインの支払いなら受付ができる。
そんな売手の思惑もあります。
そういう意味で、非常に強いというのが、
仮想通貨のメリットです。
以上、仮想通貨6つの魅力について、お話しました。
(1)実物がない
(2)価値は市場が決める
(3)全世界で使用可能
(4)偽造不可
(5)コピペ不可
(6)非常時に強い
ということでした。
おわりに
前回に引き続き、仮想通貨についてお伝えしました。
今回は、応用編ということで、グローバルな貨幣の発展性も含めたところでお伝えしました。
仮想通貨は、現在、世界的に認知が進んでいます。
認知が進んでいる背景には優れたところや可能性が挙げられます。
その反面、リスクも存在します。
ですが、どんな資産でも、技術でも、使うのは人です。
どんなに怪しいという印象を抱かれたとしても、様々な問題が発生したとしても、
本質的に優れたものなら、正当に評価され、生き残ります。
リスクもベネフィットも、コントロールできるのは、自分自身です。
全ては自分でコントロール可能ということを念頭に置けば、
仮想通貨に対する印象も、違ったものになると思います。
記事執筆
株式会社トライアンドエラー 税理士 代表取締役 遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
1981年生まれ 山形県出身
2000年仙台国税局採用 福島県内税務署を中心に18年間勤務。
2018年税理士事務所を設立。国税時代から法人個人含め延べ約30万件超の財務経営コンサルティングに携わる。
現在は株式会社トライアンドエラー 税理士兼代表取締役社長として、福島県郡山市の企業を中心に財務経営コンサルタントとして活動中。
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