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日々の財務・経営に役立つ情報発信
2023.08.22
【事業者向け】インボイスを簡単に理解するコツ
経営相談目次
対象・前提
対象:年商1000万円以下の方
前提:インボイスの基本的な知識をお持ちの方
※この記事では、専門用語を極力避け、わかりやすく説明します。
(課税売上高、適格請求書発行事業者などの税務用語、各種特例は省いて説明しております。)
はじめに
日本の税制が変わる中、インボイスは多くの事業者の関心を集めています。しかし、その重要性や利点を十分に理解している事業者は多いとは言えないのではないでしょうか。
ここでは、インボイスを商売の一環として考えることで、判断がつきやすくなると考えます。
インボイスを商売の一環としてとらえることについて、大きく3つのテーマからお話ししていきます。
1 インボイスと信頼の関係:事業運営の透明性を示すツール
インボイスは、弁護士や公認会計士のようなプロフェッショナルの資格と同様、事業者としての信頼性を証明するツールとして機能します。
例えば、インボイスを活用することで以下の3つの利点があります。
① 消費税の利点
インボイス事業者との取引は、消費税額の軽減効果をもたらします。
具体的には、消費税の計算上、インボイスによる差額が生じ、事業者には最大10%の価格差が生まれます。
消費税の計算の仕組みをおおまかに説明すると、以下のような計算式になります。
納付税額=売上消費税-仕入経費の消費税
このうち、仕入経費の消費税に含まれるのが、インボイス付き領収書の金額です。
逆にインボイスがなければ、消費税の計算上仕入経費の消費税に含まれることがありません。
② 実力の証明
インボイスの番号により、事業者の年商が1000万円を超えているかどうかを判別することができます。
これは、取引先から見て、信頼性や実績を示す指標になります。
日本の税制では、消費税は年商1000万円を超える事業者が納めます。
もちろん、1000万円以下でも選択により納めることも出来ますが、納税免除(納めない)事業者が主流です。
ですが、インボイスの導入により、発行された領収書を見れば消費税の納税の有無が分かるようになります。
インボイス番号がなければ、それは年商1000万円に達していないことが容易に分かりますから、信頼にも影響します。
③ コンプライアンスの確保
インボイスの透明性は、消費税を適切に取り扱っていることを保証し、法令遵守の姿勢を示すことになります。
商売の前提として、お客様から消費税をいただいています。
消費税を貰っていないという方もいらっしゃいますが、それは内税取引と見られます。
内税取引とは、10000円売上があれば、税抜き9091円、消費税909円で販売していたとみられます。
つまり、相手からすれば消費税909円は払っているということです。
インボイス導入前は、その消費税の納付義務は年商1000万円以下の方は免除されていました。
令和5年10月からは、消費税納付の有無が領収書の番号から分かります。
インボイスを導入していれば、納付している人という印象を与えることになります。
2 インボイスの導入コスト:年商1000万円以下の事業者の観点
小規模事業者でもインボイスの導入は検討の価値があります。
具体的には2点あります。
① 納付税額の目安
年商や適用年度によって異なりますが、納付税額の目安は売上の約2%です。
このコストを、新しい顧客の獲得や取引先との関係強化に繋げることができれば、十分に投資価値があります。
② 追加の手間
インボイス導入に伴う、確定申告の手続きや領収書の整理などの手間は確かに存在します。例えば、以下のようなものがあります。
・確定申告の手続き
・消費税の納付
・帳簿の整理
・発行したインボイスの保存
・インボイス対応型領収書への更新
ですが、これを事業の発展や信頼性向上の投資と捉えれば、その手間も報われることになります。
3 インボイスと他の費用項目との比較:広告費やクレジットカード導入との関係
インボイスの導入コストを、他の経費と比較してみると、どちらもビジネス成長のための投資として捉えられます。
例えば、クレジットカードの決済導入を例に挙げれば、年商の2%~3%くらいがコストです。その代わり、お客様にとっては利便性のメリット、自分にとっては確実に資金を回収できるメリットがあります。
広告費を考えてみます。広告費は業種にもよりますが、売上の1%~20%がコストの目安です。その代わり、お客様に自社や商品の魅力を伝えることが出来るメリットがあります。
インボイスを考えた場合、具体的には、以下のようなものがあります。
・インボイスのコストは、新規顧客獲得や既存顧客の維持、取引先との良好な関係構築のための投資
・上記を広告費やクレジットカードの手数料と同じく、顧客の獲得やビジネスの拡大をサポートする費用として捉える
これらにより、インボイスにも投資価値が見えてきます。
インボイスを商売の一環として捉え、それをビジネス戦略の一部として活用することで、事業の競争力を高め、成長の機会を増やすことになります。
実践のポイント
ここで、インボイス導入のための具体的なアクションポイントを3点ご紹介します。
① 初めてのインボイスの取り扱い
・取引先とのコミュニケーションを重視し、インボイスの取り扱いに関して事前に共有をする
・簡易的なインボイスの作成ツールやソフトを導入して、効率的な運用を目指す
② 取引先へのアプローチ
・インボイス導入のメリットや、事業者としての信頼性向上を伝えることで、取引関係の強化を図る
・新たな取引先を探す際、インボイス導入をアピールポイントとして活用する
③ 経理・財務の見直し
・インボイスを導入したことでの経理の流れや税金の計算方法を見直し、最適化を図る
・専門家やアドバイザーと相談し、経営の健全化を進める
まとめ
年商1000万円以下の事業者であっても、インボイスは無視できないビジネスツールであり、その導入により多くのメリットが得られます。
ただし、その導入に際しては適切な情報の収集と、正確な運用が必要です。
この記事を通じて、インボイスの導入を検討する事業者の皆様の助けとなれば幸いです。
皆様の事業のさらなる発展を願っています。
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記事執筆
株式会社トライアンドエラー
代表取締役 遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
・税理士
・行政書士
・1級ファイナンシャルプランニング技能士
・CFP
1981年生まれ 山形県出身
2000年仙台国税局採用 福島県内税務署を中心に18年間勤務。
2018年税理士事務所を設立。国税時代から法人個人含め延べ約30万件超の決算書、申告書の分析、確認に携わる。
国税時代および税理士、FPの経験から、正直に生きることが、仕事やお金に愛され、幸せに生きる人の特徴であることを発見。「なんだかんだで正直が一番」を掲げ、長期的な視野で、持続して成長する企業づくりの支援を行っている。また、企業の安定的な財務基盤構築には経営者や従業員の家計も整える必要があるという信念の元、企業財務と経営者や従業員の家計、トータルでの財務コンサルティングを提供している。
現在は株式会社トライアンドエラー 税理士兼代表取締役社長として、福島県郡山市の企業を中心に財務経営コンサルタントとして活動中。
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