税理士のサービスに不満があるとき、まず考えてほしいこと

税理士との付き合い方、誤解していませんか?

こんにちは。福島県郡山市で税理士事務所を運営している、税理士の遠藤光寛です。 私は国税に18年間勤め、開業して7年目になります。現在は税務顧問に加えて、企業の「お金が残る仕組みづくり」や「社員を育てる研修」を通じて、福島の中小企業を支援しています。

今回は、「税理士のサービスに不満を感じたとき、まず何を考えるべきか?」について、現場目線から整理してみたいと思います。


「うちの税理士、正直いまいちかも…」と思ったときに

  • 決算のときしか連絡がない
  • いつも形式的なやりとりだけ
  • 経営の話を振っても「それは契約外」と断られる

税理士にお願いしているのに、どうも「物足りない」と感じたことはありませんか? そうしたとき、すぐに「税理士を変えよう」と思う方もいらっしゃいますが、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。

実は、そのモヤモヤには大きく2つの原因があります。


サービスが“薄い”のは、予算とのバランスかもしれません

「税理士の対応が淡泊だな」「もっと相談に乗ってほしいのに」と感じるとき、多くの場合、その背景には“料金”とのバランスの問題があります。

たとえば、お寿司屋さんやフレンチレストランを想像してみてください。

コース料理で「予算は3,000円で」と伝えたら、どうしても素材や品数は限られます。 一方で、「予算は1万円で」と言えば、手間も技術も時間もかけて、より丁寧なおもてなしが受けられるでしょう。

税理士業務も、これと同じです。

月5万円の顧問契約で、「資金繰りも見てほしい」「補助金の提案もしてほしい」「経営判断のアドバイスもほしい」となると、どうしても限界があります。

つまり、「思ったよりサービスが少ない」と感じるときは、 「そもそも、どこまでのサービスを期待していたのか?」「料金と釣り合っているか?」を一度見直してみることが、問題解決の第一歩になるのです。


“要求していないこと”は、提供されにくい

また、意外に見落としがちなのが「こちらからお願いしていないことは、そもそも提供されない」という点です。

たとえば、何も言わなければ、記帳代行と申告書作成だけが淡々と進み、経営の話などは一切出てこないことも少なくありません。

でも、それは税理士が無関心なのではなく、「言われていないからやっていない」というケースも多いのです。

なぜなら、税理士側も「踏み込んでいいかどうか」を常に探っています。

  • 経営方針に口を出してはいけないのでは?
  • 数字の指摘をすると気を悪くされるのでは?

と、ある種の遠慮や配慮から、あえて踏み込んでいない可能性があるのです。

ですので、もし「もっと相談したい」「経営のことを話したい」という思いがあるなら、一度しっかり言葉にしてみることが大切です。 交渉というと構えてしまいますが、「こういうことも相談していいですか?」と一言添えるだけでも、対応が変わることはよくあります。


税理士側の“方針”もある

もちろん、税理士側のスタンスや方針が原因で、サービスに温度差があるケースもあります。

たとえば、ある税理士は

  • 税務代理・申告書作成・税務相談の3つだけを明確に業務範囲とし、
  • 経営や財務、人事には一切踏み込まない

という方針を掲げているかもしれません。 これは、別に悪いことではありませんが、「もっと伴走してくれる存在が欲しい」という方にとっては、やはり相性の問題になります。

また、逆に「支援したいと思っているけど、時間的にも余裕がない」「人手が足りない」という実情がある場合もあります。


担当者を変えるだけで、印象がガラッと変わることも

意外と見落とされがちなのが、「担当者」による印象の違いです。

会計事務所によっては、複数の担当者が在籍しており、誰が主担当になるかでコミュニケーションの質や雰囲気が大きく変わることもあります。

  • 新人からベテランに代わったら、話が伝わりやすくなった
  • 相性が合う担当に代わっただけで、気軽に相談できるようになった

という話もよく聞きます。

ですので、税理士法人などの大きな事務所とお付き合いがある場合は、「担当変更の相談」も1つの選択肢になるかもしれません。


「高単価なお客様」と「そうでないお客様」の違い

あまり表立って語られることはありませんが、税理士事務所も「商売」です。

同じような業務内容でも、顧問料が高いお客様に対しては、より丁寧な対応や頻繁な面談を行う一方で、月額が低い顧客には最低限の対応に留める、ということは正直あります。

これは、業界の問題というよりも、どんな商売でも共通する「サービス設計」の話です。

ですので、「あの会社は親身にやってもらっているのに、うちは…」と感じたときは、その裏にある“価格の違い”にも目を向けてみると、納得がいくこともあるかもしれません。


まとめ:不満があるなら、「まず話してみる」ことから

税理士との関係に違和感を覚えたとき、すぐに契約を打ち切る前に、「まず自分から声をかけてみる」ことをおすすめします。

  • こういう相談もしていいですか?
  • 毎月少し時間をとって話がしたいのですが…
  • 経営の視点でもサポートをお願いできますか?

こんな一言で、今の税理士との関係が大きく変わることもあります。

もちろん、「何を言っても変わらない」「そもそも対応範囲を広げる気がない」といった場合には、新しい税理士との出会いを探すのも一つの選択です。

大切なのは、自分のニーズを明確にして、それに合った関係性を築けるかどうか。

「税務申告ができる人」ではなく、 「会社の未来を一緒に考えてくれる人」に出会えるよう、まずは自分から一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。


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郡山駅前(郡山市の事務所から)

記事執筆者

遠藤 光寛(えんどう みつひろ) 税理士・行政書士・FP1級

遠藤光寛は、18年間の国税職員経験を経て、2018年に独立。 クラウド会計や医療法人支援を専門としながら、税務申告・記帳代行にとどまらず、人材育成・業務の仕組み化・データ分析に基づく経営支援を一貫して提供している。

2020年に株式会社遠藤会計を設立し、福島県郡山市を拠点に、企業の経営基盤を支える伴走型の税理士事務所を運営。 債務超過企業の黒字化、離職率の高い組織の再構築、マネジメントに悩む管理職の再育成など、「現場と数字」の両面からの改善支援を強みとする。

支援の根底にあるのは、「人は財」という信念。 税務の専門家としての正確さに加え、人と組織の成長をともに考える姿勢に信頼を寄せる顧問先も多い。 すべての顧問先に税理士本人が対応し、経営者の課題に誠実に寄り添う姿勢を大切にしている。

保有資格

  • 税理士
  • 行政書士
  • ファイナンシャル・プランニング技能士1級
  • CFP®認定者
  • 認定マスターコーチ
  • 経営支援責任者
  • 方眼ノートトレーナー
  • クラウド会計ソフトfreee会計上級エキスパート
  • クラウド会計ソフトfreee人事労務エキスパート
  • 第二種情報処理技術者
  • 初級システムアドミニストレータ
  • Microsoft VBA Excel スタンダード

認定・許可

  • 福島県 甲種防火管理者
  • 経済産業省 経営革新等支援機関
  • 厚生労働省 有料職業紹介事業所
  • 福島県公安委員会 古物商許可
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1981年8月4日生まれ 株式会社遠藤会計 代表取締役/遠藤光寛税理士事務所代表 税務職歴18年(仙台国税局)、2018年に税理士事務所開業。2020年に法人設立

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