【開催レポート|税理士事務所の運営戦略】 無料支援から脱却するためのステップ

今回は、地方で講座を受講されている税理士の先生と、顧問先の支援を無料から有料へ移行するための戦略について議論を行いました。
テーマは、単なる料金改定ではなく、「支援の在り方を再定義すること」
これまでの「好意ベース」の支援を、「成果ベース」の支援に変える取り組みです。


■ 無料から有料へ:+αの支援を価値化する

これまで、この先生は顧問先に対して、記帳・申告以外の+αの部分─
たとえば経営相談や資金繰り助言、人事に関するアドバイスを、
ほとんど無料で提供してきました。

結果として顧問先からの信頼は厚いものの、
時間的にも精神的にも「報われない構造」が生まれていたのです。

そこで今回は、無料をやめること=優しさをやめることではないという視点を共有。
本気で顧問先を良くしたいからこそ、「有料化=責任と覚悟の共有」と位置づけました。

初期段階では、

  • 顧問先の規模:従業員10名以上

  • 財務課題:資金繰りや融資支援が必要な層
    を中心に対象を絞り、30,000〜50,000円の料金レンジを設定。
    「支援の価値を可視化し、結果で評価される仕組み」を整えることで合意しました。


■ 拡大ではなく、深化で事務所を強くする

もう一つのテーマは、「事務所経営のスタイルをどう整えるか」。
今回の先生は、数による拡大を進めているが、
“時間に追われる税理士業”から抜け出し、自分のペースを守りたいというご希望でした。

話し合いの中で確認したのは、

「拡大とは、件数を増やすことではなく、単価を上げることでもある」
という考え方です。

ここで用いたキーワードが「質でスケールする」。
業務量を増やさずに、単価を上げ、顧問先の質を磨く。
これが、事務所が「長く続く」ための経営戦略だと整理しました。

財務インストラクター養成講座では、こうした発想を「価値単価構築モデル」として体系化。
受講者がそれぞれの地域で、自分の規模・顧問層に合った成長戦略を描けるよう支援しています。


■ 会計処理システムの再設計:属人化を防ぎ、効率化する

実務面では、クラウド会計ソフトの運用方法についても話し合いました。
通帳データやカード取引を自動で取り込み、現金出納簿をPDFと外部サービスで処理する仕組みを導入。
これにより、人的ミスや属人依存を減らし、
所長と職員が本来の経営支援に時間を使える環境を整えることを狙いました。

この仕組みの導入には、クラウド会計ソフトの利用料や初期設定など一定のコストがかかりますが、
「事務所内の生産性」と「顧客満足度」の双方に寄与する投資と判断できるかを慎重に検討しました。


■ 顧問向け経営強化プログラム:

中小企業のカネ・ヒト・戦略を育てる

最後に、顧問先支援のゴールをどこに置くかを議論しました。
結論はシンプルです。

「目指すのは、企業の業績を上げること。」

そのために、顧問先支援を次の4ステップで体系化しました。

1️⃣ 現状の正確な把握と分析(財務・人事・戦略の現状診断)
2️⃣ 財務と収益の最適化(数字の整え方・資金繰り設計)
3️⃣ スタッフ教育と人材育成(中堅層を支える考え方と行動)
4️⃣ 経営計画と実行支援(毎月の数値・行動フォロー)

まずは財務基礎から始め、徐々に「人」と「戦略」へと拡張。
最終的には、会計事務所が顧問先の“強化請負人”となることを目指します。


■ おわりに:

税理士が「数字で人を育てる」時代へ

この取り組みを通じて感じるのは、
税理士業が「数字を処理する職業」から「数字で企業を成長させる職業」へと進化しているということです。

受講された先生は、
「無料相談ではなく、行動が変わる支援を提供していきたい」
と明確に話しておられました。

財務インストラクター養成講座では、
こうした実践的な支援を全国の税理士に広げ、
数字で業績を上げる税理士を増やすことを目的としています。


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