新規開拓で疲弊しないために ―冷やかし客を捨てる覚悟が、会社を伸ばす

売上を伸ばしたい。
利益を安定させたい。
そう考えて、広告を増やし、営業を強化し、問い合わせ数を追いかける。
しかし、現場でよく起きているのは、こんな状態です。
・問い合わせは多いが、決まらない
・見積ばかりで終わる
・話は長いが、最後は「検討します」
・忙しい割に、利益が残らない
もし心当たりがあるなら、問題は商品でも営業力でもありません。
冷やかし客を相手にしていること
それ自体が、売上が伸びない最大の原因です。
結論:冷やかし客を捨てる
ビジネス売上のポイントは、
「どう売るか」ではありません。
誰に売らないかを決めること。
多くの経営者は、無意識のうちに
「買わない人」に時間と労力を使っています。
よくある誤解:冷やかし客を切ると売上が落ちるのではないか
冷やかし客を捨てる、という話をすると、
「それでは売上が減るのではないか」
「間口を狭めすぎではないか」
と感じる経営者も少なくありません。
しかし、実際に起きるのは逆です。
冷やかし客を相手にしている間、
経営者の時間・判断力・集中力は確実に削られています。
そしてこの“見えない消耗”こそが、
本来向き合うべき顧客への対応品質を下げています。
売上が伸びない会社ほど、
「誰でも来てほしい」「断りたくない」という優しさを持っています。
ですが、経営においてその優しさは、
結果的に既存客と見込み客への不誠実につながります。
冷やかし客を切るとは、
人を切ることではありません。
自社のリソース配分を、正しい場所に戻すことです。
本当に向き合うべき顧客に、
時間と知恵と労力を集中させる。
それができたとき、売上は「増やしにいくもの」から
「自然と残るもの」に変わっていきます。
だからこそ、まずは、顧客を正しく分けるところから始める必要があるのです。
新規客には、3つの段階がある
既存客以外はすべて「新規」と扱われがちですが、
実際には、新規客には明確な3段階があります。
① 冷やかし客(全体の約80%)
・心理状態:漠然と悩んでいる
・お金を払う予定:未定
・どこで買うか:未定
情報収集が目的で、
「いつか良いものがあれば」という状態。
この層は、基本的に買いません。
② 新規客(全体の15〜20%)
・心理状態:解決策を探している
・お金を払う予定:あり
・どこで買うか:未定
見積比較や業者比較をしている層。
ここから、ようやく商談が成立します。
③ 見込み客(全体の3〜5%)
・心理状態:すでに買ったことがある
・お金を払う予定:あり
・どこで買うか:ほぼ決めかけている
他社で似た商品やサービスを購入済み。
市場に「お金を払う文化」がある層です。
この3つを理解しないまま営業をすると、
最も人数の多い①冷やかし客に引きずられます。
1.冷やかし客は、買わない
冷やかし客が買わない理由は明確です。
この層の人たちは、
これまでの人生で「買わない選択」を続けてきた人。
お金を払うという行為は、
その人にとって価値観の転換になります。
つまり、
・価格の問題ではない
・商品の問題でもない
・営業トークの問題でもない
お金を出す文化がないのです。
この層を説得することは、
人生観を変えさせるレベルの話になります。
中小企業がここに時間と広告費を使うと、
消耗するだけで終わります。
2.新規客には、料金とベネフィットを正面から出す
次に、新規客。
ここで初めて「売る価値のある相手」になります。
この層が知りたいのは、シンプルです。
・いくらかかるのか
・何が得られるのか
だから必要なのは、
最大の欲か、最大の痛み。
曖昧な表現や期待感ではなく、
料金とベネフィットを正面からぶつけること。
判断材料を出す。
それが、新規客に対する最低限の誠実さです。
3.すでに買った人は、見込み客
すでに他社で同じ商品や似たサービスを買った人は、
見込み客と定義できます。
この層は、
・説明コストが低い
・商品理解がある
・支払いへの心理的ハードルが低い
一から丁寧に説明する必要はありません。
必要なのは、違いだけです。
他社との違いを相手に分かるレベルで説明できればいい。
相手のレベルまで一気に会話を引き上げる。
これが、見込み客への正しいアプローチです。
実例:冷やかし客を捨てるために、当社がやっていること
ここからは、当社が実際に行っている施策を紹介します。
目的はひとつ。
冷やかし客を最初から相手にしないこと。
① 対象顧客を、最初に明示する
当社では、HP上で対象顧客を明確にしています。
・年商1億円以上(前後含)
・従業員10名以上(前後含)
排除が目的ではありません。
成果が出せる相手にだけ、時間を使うためです。
② 料金を、最初から開示する
財務顧問の料金は、
月額165,000円〜と明示しています。
料金を出さなければ問い合わせは増えます。
しかし、その多くは冷やかしです。
価格を見たうえで問い合わせる方だけが、
新規客・見込み客になります。
③ 初回相談は、有料にしている
当社では、初回相談を有料としています。
理由はシンプルです。
本気の人とだけ向き合うため。
無料相談は、どうしても
「とりあえず聞いてみる」人が集まります。
有料にすることで、
・課題を自分ごととして考えている
・時間とお金をかける覚悟がある
こうした方だけが残ります。
結果として、
相談の質も、その後の成果も大きく変わります。
④ 電話は自動音声で交通整理する
電話は自動音声を導入し、
熱意と要件のある方だけが先に進める設計にしています。
すぐにつながることが、親切とは限りません。
経営者の時間を守る仕組みも、立派な経営判断です。
⑤ 広告は「需要がある層」だけに送る
広告や案内は、
需要がありそうな企業に絞って送付しています。
数ではなく、質。
買う文化のある層にだけ届ける。
これだけで、
商談の密度は大きく変わります。
問い合わせ数は減ります。
しかし、成約率と単価は上がります。
冷やかし客を捨てるとは、
売上を捨てることではありません。
売上を生む相手に集中する戦略です。
まとめ:売上は「選別」から始まる
・冷やかし客は、買わない
・新規客には、料金とベネフィットを出す
・見込み客には、違いだけを伝える
・本気でない相談は、最初から受けない
誰を相手にしないかを決めることは、
立派な経営判断です。
売上を伸ばしたいなら、
まず「捨てる」ことから始めてください。
それができた会社だけが、
消耗せず、残り、伸びていきます。
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記事執筆者
遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
税理士・株式会社遠藤会計 代表
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18年間の国税職員経験を経て独立。
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