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無関心戦略 ―競争に入らせないという、最も静かな勝ち方

多くの経営者が、無意識のうちに「競争に勝とう」とします。
価格で勝つ、品質で勝つ、広告で勝つ、営業力で勝つ。

しかし、そもそも論として考えてみてください。
競争に入った時点で、主導権の半分は失われているという事実を。

本当に強いビジネスは、競争に勝つのではなく、
競争そのものに入らせない

そのための考え方が、今回のテーマである
無関心戦略です。

ここで言う無関心とは、顧客に対してではありません。
ライバルにとって無関心な存在になるという意味です。


結論:無関心戦略とは「競争に入らせない設計」である

無関心戦略が機能している状態とは、同業他社から見て、

  • 面倒くさそう

  • 何をやっているのかよく分からない

  • 儲かっているのかどうかも不明

  • 自分たちにはできそうにない

  • 正直、真似する気が起きない

最終的に
「フッ」と鼻で笑われる

この状態です。

一見、バカにされているように見えますが、
実はこれこそが 最強の防御 であり、
同時に 最強の攻撃 でもあります。

無関心戦略が成功すると、次の2つの大きなメリットを得られます。

  • ① 価格を自社で決められる

  • ② 営業費・広告費を極限まで下げられる

競争に入らないということは、
業界のルールから自由になるということです。


なぜ「無関心」が最強なのか

競争が起きるのは、
「分かりやすく」「真似しやすく」「儲かりそう」に見えたときです。

逆に言えば、

  • 分かりにくい

  • 真似しにくい

  • 儲かっているかどうか分からない

この3点を満たすと、
ライバルは自然と距離を取ります。

つまり、無関心戦略とは
他社のやる気を削ぐ戦略です。

以下、4つの論点に分けて具体的に見ていきます。


① 面倒でやりたくないことを、あえてやる

どの業界にも必ずあります。

  • 面倒

  • 手間がかかる

  • 属人性が高い

  • ミスるとクレームが出る

  • 効率が悪そう

こうした分野は、
自社もやりたくないし、他社もやりたくない

だからこそ、ここに勝機があります。

例(業種横断)

  • 顧客ごとに仕様が微妙に違う業務

  • クレーム対応まで含めたアフターフォロー

  • 契約後も定期的に説明・確認が必要なサービス

  • 書類・データ整理が多く、自動化しにくい業務

  • 担当者との信頼関係が前提になる仕事

これらは派手ではありません。
むしろ、地味で敬遠されがちです。

しかし、面倒な仕事ほど、競争が起きにくい

多くの会社が
「もっと楽に儲かる方法はないか」と探している間に、
面倒なところを引き受け続けた会社だけが残ります。

無関心戦略の第一歩は、
面倒を引き受ける覚悟を決めることです。


② 儲けの仕組みを、あえて分かりにくくする

無関心戦略では、
「どうやって儲けているのか分からない」状態が理想です。

重要なのは、
外から見て利益構造が読めないこと

  • 単価が高いのか安いのか分からない

  • どこで利益が出ているのか分からない

  • 本業なのか副次的な収益なのか分からない

これにより、
ライバルは参入判断ができなくなります。

具体例

  • グループ会社を使い、ライバルから見えるお金の流れを分散させる

  • 表に出る商品と、裏で収益を生む仕組みを分ける

  • 売上よりも継続課金や内部取引で利益を出す

  • サービスとサポートを切り離して設計する

外から見て
「なんかやってるけど、儲かってるのか?」
と思われる状態は、実は非常に強い。

派手に儲けているアピールは、
競争を呼び込む最大の原因です。


③ 業界の非常識を、あえて選ぶ

業界には必ず「常識」があります。

  • それは無理

  • 前例がない

  • 業界的にNG

  • 普通はやらない

しかし、忘れてはいけません。

業界の常識は、顧客の常識ではない

むしろ多くの場合、
業界の常識は顧客から見ると不親切で、不便です。

無関心戦略を取るなら、
次のような距離感が重要になります。

  • 業界団体と一定の距離を取る

  • 慣習をそのまま守らないと決める

  • 「なぜそれをやっているのか」を毎回疑う

業界から見ると非常識。
顧客から見ると合理的。

このズレが、
「真似できない理由」を作ります。


④ 市場規模を、あえて小さく見せる

無関心戦略では、
大きく見せる必要はありません

むしろ逆です。

  • 市場が小さそう

  • 地味

  • 成長性がなさそう

  • 夢がなさそう

こう思われるくらいで、ちょうどいい。

なぜなら、

  • 大企業は参入しにくい

  • 資本勝負になりにくい

  • 広告合戦が起きにくい

からです。

「フッ」と笑われるくらいが、最適解。

目立たないことは、
長く生き残るための戦略でもあります。


無関心戦略がもたらす2つの本当の価値

無関心戦略が完成すると、
次の2つが自然と手に入ります。

① 価格決定権

競争がないため、
価格を下げる理由がありません。

値引き交渉も起きにくく、
「嫌なら他へどうぞ」が成立します。

② 営業・広告コストの削減

競争広告を打つ必要がなくなり、
紹介・継続・関係性が中心になります。

結果として、
利益率が安定し、疲弊しない経営になります。


まとめ

一番強い戦略は、戦わないこと

無関心戦略とは、

  • 面倒

  • 分かりにくい

  • 真似できない

  • 目立たない

これらを 意図的に作る戦略です。

競争に勝とうとするほど、
競争に縛られます。

競争に入らせない設計ができたとき、
初めて経営は楽になります。

派手さより、持続。
注目より、安定。

一発屋で終わらない会社は、
いつの時代も 無関心の中で静かに勝っているのです。


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記事執筆者

遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
税理士・株式会社遠藤会計 代表

二代目経営者を中心に、
事業の成長と経営者個人の資産形成を両立させる支援を行っている税理士。

支援において重視している成果指標は、次の2点。

  • 経営者個人の金融資産1億円超

  • 役員報酬差引前・粗利益に占める経常利益率10%超

これらの状態を一過性の成功で終わらせず、
再現性をもって維持・拡張できる経営構造をつくることを目的に支援している。
支援の軸は、次の3つ。

  • 数字:感覚ではなく、意思決定できる数字に整える

  • :任せられる組織をつくり、経営者が現場から抜けられる状態をつくる

  • 仕組み:一発屋で終わらない、回り続ける事業構造をつくる

18年間の国税職員経験を経て独立。
福島県郡山市を拠点に、中小企業・医療法人を中心として、
経営に深く関与する伴走型の支援を行っている。

本ブログでは、二代目経営者が直面しやすい、

  • 一度うまくいった後に伸び悩む

  • 数字は出ているのに手元にお金が残らない

  • 次の一手が見えない

といった局面に対し、
「何をやるか」ではなく「何をやらないか」から整理する経営の考え方を中心に発信している。

黎明の郡山(郡山市の事務所から)
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    1981年8月4日生まれ 株式会社遠藤会計 代表取締役/遠藤光寛税理士事務所代表 税務職歴18年(仙台国税局)、2018年に税理士事務所開業。2020年に法人設立

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