一発屋で終わる会社と、10年残る会社の決定的な違い

事業をしていると、時々こんな会社を目にします。
一時期は勢いがあり、売上も伸び、周囲からも注目された。
ところが数年後には名前を聞かなくなり、気づけば市場から姿を消している。
一方で、大きく話題になるわけでもなく、派手な宣伝もしない。
それでも静かに売上を積み上げ、10年、20年と残り続ける会社もあります。
この違いは、才能や運、景気ではありません。
決定的な差は、経営者がビジネスをどう定義しているかです。
売上が立った瞬間、多くの経営者は安心します。
しかし実は、その瞬間こそが、経営において最も危ういタイミングです。
ビジネスには三つの要件がある
ビジネスには、最低限満たさなければならない三つの要件があります。
この定義を理解していないと、どれだけ一時的に成功しても、必ずどこかで失速します。
① お金を払ってもらう
奉仕活動との違いを理解する
ビジネスは有料です。
これは当たり前のようで、実は軽視されがちな前提です。
世の中には、人の役に立つ活動、感謝される仕事が数多くあります。
しかし、それがそのままビジネスになるわけではありません。
お金を払ってもらって初めて、ビジネスになります。
感謝と支払いは、似ているようでまったく別物です。
経営が不安定な会社ほど、次の言葉が増えていきます。
今回はサービスで
とりあえず無料で
最初だけお試しで
これは優しさでも戦略でもありません。
単なる定義の欠如です。
お金を払うという行為は、価値を認めるという意思表示です。
支払いが発生しない時点で、その価値はまだ検証されていません。
有料で成立しないものは、どれだけ良いことをしていても、事業としては成り立たない。
まずこの現実を、経営者自身が正面から受け止める必要があります。
② 払い続けてもらう
投機との違いを理解する
一度お金を払ってもらうことと、払い続けてもらうことは、まったく別です。
一回限りで終わる取引は、ビジネスというより投機に近い。
投機の目的は、短期でお金を稼ぐことです。
一方、ビジネスの目的は違います。
顧客生涯価値を高め続けることです。
顧客生涯価値とは、ひとりの顧客が取引を始めてから終わるまでに、どれだけの利益をもたらすかという考え方です。
重要なのは、単発の売上ではなく、関係の長さです。
一般的に、商品やサービスの多くは繰り返し使われます。
二回目、三回目があるからこそ、事業は安定します。
ここで本質的な話をすると、経営者が売っているのは商品そのものではありません。
関係性です。
関係が続く限り、取引は続く。
関係が切れた瞬間、その顧客とのビジネスは終わります。
顧客生涯価値には上限があります。
そしてその上限を決める最大要因は、関係性の持続期間です。
一発屋で終わる会社は、売れたかどうかしか見ていません。
続いているかどうかを見ていない。
その結果、常に新規を追い続け、疲弊し、利益率が下がっていきます。
③ 次への投資
ここで差が決定的につく
一発屋で終わる経営者の最大の特徴。
それは、成功した後に次の準備をしないことです。
売上が立ち、利益が出た瞬間、人は気が緩みます。
そして、次のような行動に走りがちです。
・高級車を買う
・自社ビルを建てる
・役員報酬を増やす
・繰延節税に走る
あえて厳しく言います。
事業に直接必要でないものは、すべて浪費です。
これは感情論ではありません。
事業の持続性という観点からの話です。
本来、成功したビジネスが生んだ利益には、明確な使い道があります。
成功したビジネスでやるべき二つの投資
成功したときに、経営者がやるべきことは二つだけです。
① 安定化への投資
まず、今うまくいっているビジネスを徹底的に固めること。
・競合対策
・カスタマーサポートの強化
・フィードバックの収集と改善
・オペレーションの見直しと改良
これらはすべて、利益を守るための投資です。
売上を伸ばす前に、崩れない仕組みを作る。
これを怠ると、競合やトレンドの変化で一気に崩れます。
② 次への投資
同時に、次のビジネスの準備を始めます。
間髪入れず、です。
・次の柱を育てる
・新しい商品やサービスを試す
・人材に投資する
浪費している場合ではありません。
正しく次への投資を続けていれば、利益が余るという状況はほとんど起こりません。
安定化と次への投資に予算を回していれば、それ自体が結果として節税にもなります。
節税を目的に動くのではない。
投資を続けた結果として、税金は自然に抑えられる。
成功のサイクルを一周で終わらせない
一発屋で終わる会社は、成功のサイクルを一周で止めます。
・売れて
・安心して
・投資を止めて
・競合化やトレンドで風化する
一方、残る会社は違います。
成功した瞬間から、次のサイクルを回し始める。
・安定化への投資
・次への投資
この二つを同時に回し続ける。
それが、会社を残す経営です。
まとめ
・ビジネスは有料である
・払い続けてもらう関係性が本質
・成功したら、安定化と次への投資を止めない
事業に直接必要でない支出は浪費
浪費に走った瞬間、成長は止まる
一発屋で終わるか、長く残るかは、売上の大きさでは決まりません。
ビジネスをどう定義し、利益を何に使うかで決まります。
経営とは、成功を祝うことではありません。
成功を次につなげ続けることです。
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記事執筆者
遠藤 光寛(えんどう みつひろ)
税理士・株式会社遠藤会計 代表
二代目経営者を中心に、
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仕組み:一発屋で終わらない、回り続ける事業構造をつくる
18年間の国税職員経験を経て独立。
福島県郡山市を拠点に、中小企業・医療法人を中心として、
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