誠実を安売りしない勇気 ― 焦りの中で学んだ二つの原則

はじめに
「思ったより高いですね」と言われた案件がありました。
私にとっては小さな仕事でしたが、その言葉が胸に残りました。
なぜなら、その案件は好意で値下げをして引き受けた仕事だったからです。
「頼まれたから」「断るのも気が引けて」という気持ちが、判断を鈍らせていた。
いま振り返れば、そこには焦りと誠実の混同があったように思います。
誠実さは、金額の外側にある
この出来事で感じたのは、「誠実さ」は価格の問題ではないということ。
むしろ、誠実さを守るには、値段を下げない勇気が必要だと気づきました。
値下げとは、相手に「これはこの程度の価値です」と教える行為です。
たとえ好意からの値下げであっても、その好意は伝わりません。
伝わるのは、「この人は安くしてくれる人なんだ」という事実だけです。
その瞬間に、信頼ではなく取引が始まります。
原則① 金額は先に言うこと
金額を後回しにすると、相手の要望だけが先行していきます。
しかし、金額を最初に出すと、相手の本気度が見える。
「値段を聞いた途端、態度が変わる人」もいれば、
「それでもお願いしたい」と言ってくださる人もいます。
後者の方こそ、こちらが誠実に応えるべきお客様です。
線を先に引くことは、相手を試すことではありません。
自分の仕事の価値を守るための、誠実な防衛線です。
原則② 焦りに引きずられないこと
仕事をしていると、誰しも「もう少し請けようか」「まだ余力がある」「せっかく声をかけてもらったし」と迷う瞬間があります。
しかし、焦りや義理で受けた仕事ほど、成果は出にくい。
誠実に向き合うためには、時に断る勇気も必要です。
仕事を請けないことは、怠けではなく「次の良縁を迎える準備期間」。
誠実を貫く人には、必ずそれを理解してくださる方が現れます。
焦らず、誤魔化さず。
それが信頼の積み重ねになると、いまは確信しています。
自分への戒めとして
今回の出来事を通じて、私は改めて二つの原則を自分に言い聞かせました。
・金額提示は先に行うこと
・焦りに引きずられないこと
この二つが守れれば、どんな状況でも誠実を失わずにいられる。
そして、誠実を安売りしない勇気こそが、長く信頼される仕事の基礎だと思います。
おわりに
お客様の信頼を得るには、口よりも行動です。
誠実を示すのは、値段ではなく姿勢。
その積み重ねが、成果と信頼に変わっていくと信じています。
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記事執筆者
遠藤 光寛(えんどう みつひろ) 税理士・行政書士・FP1級
18年間の国税職員経験を経て、2018年に独立。 クラウド会計や医療法人支援を専門としながら、税務申告・記帳代行にとどまらず、人材育成・業務の仕組み化・データに基づく経営戦略立案、実行を一貫して提供している。
2020年に株式会社遠藤会計を設立し、福島県郡山市を拠点に、企業の経営基盤を支える伴走型の税理士事務所を運営。 以下のような、「現場と数字」の両面からの改善支援を強みとする。 ・債務超過企業の黒字化 ・離職率の高い組織の再構築 ・マネジメントに悩む管理職の再育成
支援の根底にあるのは、「人は財」という信念。 税務の専門家としての正確さに加え、人と組織の成長をともに考える姿勢に信頼を寄せる顧問先も多い。 すべての顧問先に税理士本人が対応し、経営者の課題に誠実に寄り添う姿勢を大切にしている。
保有資格
- 税理士
- 行政書士
- ファイナンシャル・プランニング技能士1級
- CFP®認定者
- 認定マスターコーチ
- 経営支援責任者
- 方眼ノートトレーナー
- クラウド会計ソフトfreee会計上級エキスパート
- クラウド会計ソフトfreee人事労務エキスパート
- 第二種情報処理技術者
- 初級システムアドミニストレータ
- Microsoft VBA Excel スタンダード
認定・許可
- 福島県 甲種防火管理者
- 経済産業省 経営革新等支援機関
- 厚生労働省 有料職業紹介事業所
- 福島県公安委員会 古物商許可

